【金鯱賞回顧】末脚一閃、シェイクユアハートが重賞2勝目 “ハーツクライ産駒の覚醒”は続く

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クイーンズウォークの敗因
大阪杯の前哨戦金鯱賞はシェイクユアハートが制し、重賞2勝目をあげた。2着ジョバンニ、3着クイーンズウォークで決着した。
本番はこの次。春のGⅡは基本、そんなコンセプトで行われる。クラシック戦線のように出走権をかけた争いと違い、古馬の前哨戦はまずもって休み明けから全開で挑むことはない。実績上位馬のそういったある種のスキとそこを狙う馬たちの争いは伏兵に凱歌があがる。金鯱賞はそんな典型的な結果となった。
2、3番人気のドゥラドーレス、ヴィレムは全力投球で挑み、5、6着。ドゥラドーレスは重賞4戦連続2着ののちに崩れた。やはりどこかで勝っておかないと勢いは続かない。決して使い詰めではないので、消耗したわけではないが、勝てるときに勝たないとかえって遠ざかる。勝負の世界は厳しく難しい。
ヴィレムはあとで触れるが、早めにペースアップするキツい流れに対応しきれなかった。ここにきて経験値の差が出た印象を抱く。走破時計1.58.2は決して好走できない時計ではなかったが、乗りきれなかった。
対して1番人気クイーンズウォークは立場が違う。昨年の勝ち馬であり、天皇賞(秋)9着以来の休み明け。全力で挑むのは次であり、ここは力を出せる仕上がりでよかった。決してデキは悪くなかったが、上手くレースに入れなかった。
スタート直後のポジション争いで前をとりたいホウオウビスケッツとセキトバイーストに挟まれる形になり、ここでクイーンズウォークの気持ちが揺れた。ひと伸び欠いたのは序盤が整わなかった部分が大きい。ひと叩きしたことで、心が落ち着いてくれれば、序盤のポジション争いでも負けないだろう。
ハーツクライの覚醒は追いかけて損なし
開幕週の中距離戦はポジション争いが激しくなる。24、25年は中京芝2000mにしては速い流れになったように、どうしても先を争いたくなる。
今年は前半1000m通過1:00.4なので、ハイペースではなかったが、有力馬たちがポジションをとりにいったこともあり、序盤から前への意識が強かった。流れが速くなくとも、レース全体の意識が前に傾いたことで、差し馬の台頭を呼んだ。
後半1000mは11.4-11.2-11.6-11.7-11.8。下りに転じる地点から一気にペースが上がったのは、先行勢が背後の有力馬を意識したからだろう。
そんななか、シェイクユアハートは後方で脚を溜め、直線にかけた。自分の競馬に徹した潔さが展開を呼び込んだわけだが、それにしても末脚の迫力は素晴らしかった。
中日新聞杯のときにハーツクライの覚醒について書いたが、なかでも超A級は覚醒後にさらにパフォーマンスを上げ、2段、3段とレベルを上げる。代表例はリスグラシューであり、最後の有馬記念は凄みすら感じた。シェイクユアハートも似た感覚がある。GⅠで激走しても驚けない。
古川吉洋騎手と宮徹厩舎の組み合わせは小倉大賞典のタガノデュードに続き重賞連勝。今回も8番人気と、走っても人気にならないのは穴党にとって頼もしい。ハーツクライの覚醒は追いかけて損はない。
復調のきっかけをつかんだジョバンニ
2着ジョバンニはハナに立つ勢いから上手く抑えて絶好位で流れに乗った。早めのペースアップにも余裕をもって対応し、抜け出してきた。前走AJCCは見せ場なく敗れたが、型通りに上昇し、実力を発揮した。
父エピファネイアに母父ストームキャット系という血統構成だけにこの手の持続力勝負は合う。先行力を生かし、自ら得意の流れに持ち込めるのも強み。神戸新聞杯以降は競馬の形を崩していたが、この好走で陣営もはっきり見えたはずで、次が楽しみだ。
厳しい流れになってしまったのは4着ジューンテイクだろう。向正面で動いて、好位にとりついたところでペースが速くなってしまった。もう少し勝負所までゆっくりできれば、脚を使えたのではないか。今回は展開が噛み合わなかったが、4着に残っており、引き続き充実期にある。見直したい。

《ライタープロフィール》
勝木 淳
競馬を主戦場とする文筆家。競馬系出版社勤務を経てフリーに。優駿エッセイ賞2016にて『築地と競馬と』でグランプリ受賞。主に競馬のWEBフリーペーパー&ブログ『ウマフリ』や競馬雑誌『優駿』(中央競馬ピーアール・センター)にて記事を執筆。Yahoo!ニュースオーサーを務める。『サラブレッド大辞典』(カンゼン)に寄稿。
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