SPAIA競馬
トップ>ニュース>【福島牝馬S回顧】息の入らぬ流れで“息を吹き返した”コガネノソラ 1800mの持続力勝負で示した確かな適性

【福島牝馬S回顧】息の入らぬ流れで“息を吹き返した”コガネノソラ 1800mの持続力勝負で示した確かな適性

2026/04/20 11:01
勝木淳
2026年福島牝馬S、レース結果,ⒸSPAIA

ⒸSPAIA

レーゼドラマが演出した流れ

春の福島唯一の重賞である福島牝馬Sはコガネノソラが勝ち、重賞2勝目。2着ジョイフルニュース、3着カニキュルで決着した。中山牝馬Sとつながりの深い重賞だが、結果、中山牝馬S組は1番人気パラディレーヌを含め、最高でもケリフレッドアスクの4着と敗退してしまった。

レースのペースを握ったのは中山牝馬Sと同じくレーゼドラマだったが、ペースがまるで違った。中山牝馬Sは大外枠からハナに立ち、前半1000mは59.6。中盤で緩まず、ラップ推移は1000m通過タイムの印象より厳しいものだったが、福島牝馬Sはさらに厳しかった。

前半1000m通過は58.8。ラップをみると、12.4-11.3-11.9-11.7-11.5-11.4-11.9-11.9-11.6。レーゼドラマがコーナー区間で自然に落としたスピードを向正面で再度上げていったことが見てとれる。

重賞制覇を決めたフラワーCでも印象的だったが、夢中になって走る性格のようで、3走前にブリンカーを装着して浮上のきっかけをつかんだ。ただ、そのブリンカーが今回は裏目に出たようで、夢中になりすぎたか。

それでも残り200mまでは粘る走りを見せており、そのスピード能力の高さは示した。コントロールは課題だが、6着に踏ん張った事実は今後、馬券の役に立てたい。

このレーゼドラマが演出した息の入らない流れによってコガネノソラは息を吹き返した。福島を得意とする傾向にあるゴールドシップ産駒は平坦で適度に上がりがかかる競馬を得意としており、今回のラスト600m11.9-11.9-11.6は十八番ともいえる。

またコガネノソラはスイートピーS、クイーンS、そして今回を含めて全5勝が1800mという距離巧者。うち3戦はコーナー4つの1800m戦なので、わりと走るシチュエーションを絞りやすい。例外であるスイートピーS(東京1800m)は1000m通過57.5のハイペースで東京としては上がりがかかった。こう考えると、さらに適性はつかみやすい。


速い時計にも対応できるコガネノソラ

母の母コスモチェーロがオーストラリアから輸入され、枝葉を広げた一族だが、そのコスモチェーロの上にはオーストラリアのマイル重賞ウイナーも出ていた。その血を見込んだ導入が当たり、コスモチェーロは福島芝1800mのラジオNIKKEI賞を勝ったウインマーレライや香港ヴァーズを勝ったウインマリリンを出した。

そのコスモチェーロの初仔がコガネノソラの母マイネヒメル。父ロージズインメイの同馬は芝中距離で粘る形で4勝をあげた。スピードと粘りは別系統の孫コラソンビートに受け継がれ、枝葉を広げていくことになる。

コガネノソラは父ゴールドシップに母の父ロージズインメイ、コスモチェーロ牝系の組み合わせになる。この父と母の父のカップリングは産駒最多の勝利数をあげており、生産したビッグレッドファームが得意とする血統構成だ。じっくり加速し、ゴールまで末脚を持続させるスタイルを得意とする。コガネノソラの特徴そのものだ。

そこにコスモチェーロ牝系のある程度速い時計に対応できる力が加わっていることがポイントで、終いの時計がかかったとはいえ、レース史上最速(福島開催時)の1:45.6に対応できたことにつながる。

イメージより速い時計に対応できる。これがヴィクトリアマイルにつながる可能性は否定できない。舞台は決して得意とはいえないが、持続力勝負で終いに徹すれば一発あるかもしれない。

ビッグレッドファーム産、父ゴールドシップ、母の父ロージズインメイは東京芝1800mで【6-0-0-7】勝率46.2%を記録。確かに200m短い東京芝マイルでは好走ゼロだが、上記の通り、なんらかの状況で持続力勝負になり、ラスト200mで時計を要すれば浮上してもいいのではないか。ヴィクトリアマイルに出走してくれることを密かに願う。


連対をはずしていないジョイフルニュース

2着ジョイフルニュースはレーゼドラマの厳しい流れを好位で受け、見せ場をつくった。外から抜けたコガネノソラには抵抗できなかったが、3着カニキュル以下の追い込み勢は封じており、持続力勝負への強さを示した。

全4勝のうち中山マイルが3勝で全体時計が速い決着も苦にしない。なによりここまで8戦して3着以下がなく、オール連対中というのが目につく。

クラス上昇、条件替わりでも崩れないのは能力そのもの。スピードと対応力の高さは父ロードカナロアの特徴そのもの。やはりベストはマイルで1800mは少し長い。ヴィクトリアマイルも出走できれば楽しめそうだが、サマーマイルシリーズで狙いたい一頭だ。

3着カニキュルは格上挑戦で好走した。フローラS3着などの実績を踏まえると、最近は伸びあぐねている印象をもっていたが、そうではなく、好走条件がそろっていなかっただけのようにも見える。

父エピファネイアはスローペースの軽い競馬より底力を問うような厳しい流れで真の力を見せる。さらに母シャルールは福島牝馬S、クイーンS2着馬でコース適性もあった。シャルールの兄には弥生賞3着アーデントがおり、近親には毎日杯を勝ったファンダムもいる。

カニキュルの兄トランキリテも上がりが多少かかる馬場、展開で走るタイプであり、カニキュルが条件戦のスローペースに合わないのも納得だ。ということで、自己条件戻りで人気に推される場合は展開など条件で取捨選択したい。スローの上がり勝負だと勝ちきれない可能性が高い。


2026年福島牝馬S、レース回顧,ⒸSPAIA


《ライタープロフィール》
勝木 淳
競馬を主戦場とする文筆家。競馬系出版社勤務を経てフリーに。優駿エッセイ賞2016にて『築地と競馬と』でグランプリ受賞。主に競馬のWEBフリーペーパー&ブログ『ウマフリ』や競馬雑誌『優駿』(中央競馬ピーアール・センター)にて記事を執筆。Yahoo!ニュースオーサーを務める。『サラブレッド大辞典』(カンゼン)に寄稿。

《関連記事》
【福島牝馬S】結果/払戻
【福島牝馬S】AIの本命はパラディレーヌ 中山牝馬S組の複勝率66.7%データに合致
【福島牝馬S】今年も中山牝馬S組がカギ 8着ケリフレッドアスクの一変警戒