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【青葉賞】ゼンノロブロイが見せた確かな末脚と大物感 ダービーの主役候補に躍り出た2003年をプレイバック

2026/04/20 17:00
緒方きしん
プレイバック2003年 青葉賞,ⒸSPAIA

東西から個性派が集結

今週は青葉賞が開催される。過去にはレオダーバンやシンボリクリスエスが制したレース。今回はそんな中から2003年の一戦をピックアップして当時を振り返っていく。

ネオユニヴァースがアタマ差で栄冠を掴み取った2003年の皐月賞。同レースは1番人気ネオユニヴァース→2番人気サクラプレジデント→3番人気エイシンチャンプの人気順決着となった。この結果を受け、ダービーに向けた新星の登場に期待が集まる中、青葉賞を迎える。

1番人気はここまで3戦2勝の関東馬ゼンノロブロイ。2戦目のすみれSこそ素質馬リンカーンの3着に敗れたものの、3戦目の山吹賞では2着に2馬身半差をつける快勝を見せた。

母ローミンレイチェルは米GⅠバレリーナHを制した実績馬で、ゼンノロブロイ自身もセレクトセールで9450万円の値がついていた。鞍上・横山典弘騎手、管理・藤沢和雄調教師という豪華タッグでもあり、早くも大物感が漂っていた。

2番人気は関西馬のタカラシャーディー。道営デビューだが中央移籍後は、くすのき賞1着→共同通信杯2着→毎日杯1着と見事な戦績を残していた。

鞍上はコンビ2戦2勝の佐藤哲三騎手、管理は佐々木晶三調教師とこちらも黄金タッグ。デビューから4戦をダート1000mで走った馬が未知の距離に挑む点にも注目が集まっていた。

その他にも、すみれSでゼンノロブロイに先着(2着)した3番人気クラフトワーク、叔父にサイレンススズカがいる血統背景からも注目された4番人気スズカドリームなど、将来を有望視される素質馬が東西から集結した。


ロスをものともしない快勝劇

揃ったスタートからカイシュウコンドルが良いダッシュを見せるが、最内枠のブラックカフェが鞍上の田中勝春騎手に促され先頭を奪う。そこから勢いをつけて、後続をやや離した逃げとなった。

2番手にはカイシュウコンドルとホーマンオブジェが並走し、タカラシャーディー、ゼンノロブロイらが続く。その直後にはマークするかのように、スズカドリームと蛯名正義騎手がピッタリとつける。一方、クラフトワークは上位人気でただ1頭、後方集団にポジションを取っていた。

気がつけば、ブラックカフェが2番手以降を10馬身近く離すひとり旅。向正面では後続馬が仕掛けのタイミングを探り合いながら、密集してひとつの塊となる。ペースはスロー。各馬が一団となってブラックカフェを早めに捕まえにいく。

3コーナー手前でブラックカフェのリードは縮まるも、依然として隊列は大きく変わらないままコーナーへ突入。ゼンノロブロイは好位で内に3頭いる状態をキープしつつ、外を回る形を選ぶ。まるで前が詰まるリスクを避けるかのような、安全なルート取りだった。

そして直線、後続馬が横一線に広がり、一気に仕掛けるが、残り400mの標識付近でゼンノロブロイは外によれてしまう。この隙をつくかのように、タカラシャーディーが先頭に躍り出る。

しかし、そこから立て直したゼンノロブロイは再点火。楽な手ごたえのまま末脚を伸ばすと、外からタカラシャーディーを一気に交わしにかかる。直後の大外からはクラフトワークも加速している。

勝負根性を見せるタカラシャーディーだったが、ゼンノロブロイの勢いには抗えず。最後は1.1/4馬身差で決着した。2着はタカラシャーディーが粘り込み、ハナ差の3着にはクラフトワークが食い込んだ。人気の一角スズカドリームは10着と大きく敗れた。

結果的には皐月賞と同じく1番人気→2番人気→3番人気の順当決着。馬連520円、三連複570円という配当だった。その一方で、ゼンノロブロイの大物感溢れるレースぶりに観衆はざわめき、続くダービーでの活躍に期待が膨らむ一戦でもあった。

青葉賞勝ち馬のダービー成績は、レオダーバン、エアダブリンらの2着が最高で、まだ勝ち馬は出ていなかった。藤沢厩舎の先輩でもあるシンボリクリスエスも、前年にゼンノロブロイと同じ山吹賞→青葉賞を連勝して挑んだが、タニノギムレットの2着に敗れている。

それでも「今年こそ青葉賞組からダービー馬が誕生か!?」という声も聞こえるような、素晴らしい走りだった。

芝1戦1勝の大物候補登場 山吹賞から久々の勝ち馬となるか

ゼンノロブロイはダービーで3番人気に支持されたが、惜しくも2着に敗れた。1着はネオユニヴァース、2着にゼンノロブロイ、3着にザッツザプレンティ。またしても青葉賞からのダービー制覇はお預けとなった。

以降も青葉賞からはウインバリアシオン、フェノーメノなど多くの活躍馬が出ている。昨年も、後に菊花賞を制するエネルジコが勝利を挙げた。それでも未だにダービー馬はいない。果たして今年はどうか──。その期待は今も途切れることなく続いている。

ゼンノロブロイは4歳シーズンの秋に、天皇賞(秋)→ジャパンC→有馬記念を連勝し、いわゆる秋古馬三冠を達成する。年度代表馬にも選出されると、翌年は英GⅠ・インターナショナルSに挑戦し2着と好走。青葉賞の頃から見せていた大物感が本物であったと知らしめた。

引退後は種牡馬としても活躍。出遅れ癖でファンの眼差しを釘付けにしたペルーサや、海外を渡り歩いたトレイルブレイザーなど、多くの個性派が誕生した。

また、サンテミリオンやアニメイトバイオをはじめとした優れた牝馬も多く送り出し、母父としてもゲルチュタールやシリウスコルトらを送り出している。2026年もBMSリーディング14位(~4月19日)にランクインし、日本の血統図にその名を刻み続けている。

今年の青葉賞は、ゼンノロブロイと同じ山吹賞を勝って挑むリアルスティール産駒のケントンに注目したい。登別市・青藍牧場で生産された同馬は、デビューから4戦連続でダートに出走していたが、芝初挑戦となった前走を好位から押し切る競馬でいきなり勝利した。

芝戦績に限定すると1戦1勝。未知の魅力を秘めた大物候補である。ちなみに、山吹賞1着から青葉賞を制した馬は、上述のシンボリクリスエス、ゼンノロブロイ以降出ていない。

最初の関門を突破し、さらには青葉賞からのダービー制覇という偉業に挑むことができるだろうか──。


《ライタープロフィール》
緒方きしん
札幌生まれ、札幌育ちの競馬ライター。家族の影響で、物心つく前から毎週末の競馬を楽しみに過ごす日々を送る。2016年に新しい競馬のWEBメディア「ウマフリ」を設立し、馬券だけではない競馬の楽しみ方をサイトで提案している。好きな馬はレオダーバン、ペルーサ、ウインバリアシオン、スキルヴィング。

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