【天皇賞(春)】長距離適性光るアドマイヤテラが本命 穴は先行してしぶといシンエンペラー

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3角7番手以内のポジションが重要
京都芝3200mは2周目の3角の上りまでゆったりと流れて、3角の下り坂からペースアップするのが主流。このため3角で7番手以内にはいないと厳しく、この位置が取れなかった2012年のオルフェーヴルや2014年のゴールドシップも7着以下に敗れている。
京都開催だった2012年以降のデータで見ても、3角8番手以下で勝利したのは2018年のレインボーラインのみ。この年はヤマカツライデンがハイペースでレースを引っ張った年だった。また、昨年も3角12番手のビザンチンドリームがアタマ差の2着まで善戦しているが、このレースは捲り合戦となり、緩みない流れとなっていた。
しかし、天皇賞(春)が緩みなく流れることは稀で、馬場が高速化するほどスローになりやすい。今年もケイアイサンデラが同厩舎のミステリーウェイに競りかけていくストーリーは考えにくく、ミステリーウェイのスロー逃げが濃厚。例年のように3角7番手以内を目安に予想したい。
能力値1~5位の紹介

【能力値1位 クロワデュノール】
国内では【5-1-0-1】の実績馬で、唯一、連対を外したのは昨年のジャパンCのみ。超絶ハイペースとなった同レースでは、二の脚の速さでセイウンハーデスを行かせながら控えて3列目の内を追走し、ラスト2Fで先頭に立つ早仕掛けが祟っての結果。強い内容での4着だった。
前走の大阪杯では、GⅠ・3勝目を達成。ここでは15番枠からまずまずのスタートを切り、軽く促して好位外目を追走し、道中ではコントロールしながら好位の外で進めた。
3角で外々から押し上げ、4角では軽く仕掛けて2~3番手のショウヘイに並びかける勢いで直線へ。序盤でふらつき、先頭のメイショウタバルとはまだ2馬身差。ラスト1Fで粘る同馬を何とか捉えて3/4差で勝利した。
当時は高速馬場で前後半5F58秒1-59秒5のややハイペース。ただし、この日は稍重スタートで馬場の内側から乾いており、内有利だった。つまり、最内を立ち回ったメイショウタバルに対し、クロワデュノールは3~4角で外々から進出するロスを作っており、着差以上の強さだった。
また、前走時の馬体重10kg増が示すように、完調ではなかったと見ている。しかし、それでも速い流れで能力を引き出されてしまうと、特に休養明け2戦目では意外な取りこぼしをすることが多い。
ジャパンCでのタフな内容などからも、芝3200mはこなせない距離ではないと見るが、ペースが遅いと折り合いを欠くところもあるので全幅の信頼は置きにくい。
【能力値2位 ヘデントール】
芝3000m以上で【2-1-0-0】の長距離巧者。2024年の菊花賞2着、昨年のダイヤモンドS1着、天皇賞(春)1着の実績を挙げている。
天皇賞(春)では6番枠から好スタートを決めたが、じわっと下げて好位の最内を確保。スタンド前では前にスペースを置いた状態で我慢。向正面で前のアラタが下がってスペースが詰まると中目に誘導し、仕掛けて3角に入る。
3角では好位中目で我慢し、4角で外に誘導してショウナンラプンタの後ろから仕掛けて3列目で直線へ。序盤で追われるとショウナンラプンタをかわし、外のビザンチンドリームの追撃をアタマ差で振り切った。
当時は高速馬場で前半5F60秒7-中盤6F73秒7-後半5F59秒6。向正面から加速したことで緩みなく流れており、例年の天皇賞(春)と比べるとタフな競馬。後方有利の展開をビザンチンドリームよりも前の位置で進めて3着馬には3馬身差と強い内容だった。
骨折による長期休養明けとなった前走の京都記念では8着に敗退。当時は登録していたドバイシーマクラシックへの叩き台の意味合いが強く、馬体重も太めだった。その上、当時は高速馬場で前後半5F61秒8-58秒5のスローペース。前有利の展開を後方2番手からの追走になったことが主な敗因だ。
ただ、出遅れただけではなく、序盤のペースが遅いにもかかわらず、あまり進んで行かなかった。そのため、昨年の天皇賞(春)よりも後方からの位置になる危うさがある。
今年はペースが上がりそうもない中、3角までに好位が取れるかどうかが課題。ただし、あっさり位置を取ってくれば勝ち負けに持ち込める実力馬だけに、重い印は打ちたい。
【能力値3位タイ アドマイヤテラ】
一昨年の菊花賞3着以来となる3000m以上の距離に挑んだ前走の阪神大賞典で一変して勝利。1番枠からまずまずのスタートを切り、軽く促して好位の最内を確保。道中では3列目の最内で進め、スタンド前で前にスペースを作ろうとしていたが、引っ掛かって作れず。向正面で少しペースが上がったところで自然とスペースが生まれたことで、中団最内から3角に入る。
3~4角で前のアクアヴァーナルをマークし、持ったまま同馬を追い駆けて直線で外へ誘導。序盤で追われると、すっと伸びて2番手に上がる。ラスト1Fで先頭のアクアヴァーナルを並ぶ間もなく抜き去って3馬身差で完勝した。
当時はかなりの高速馬場で前半5F62秒5-中盤5F61秒2-後半5F58秒3と、かなりのスローペース。2列目の最内から早めに動いたアクアヴァーナルの方が展開に恵まれていたが、問答無用に差し切っての勝利だった。
本馬がここで記録した指数は、大阪杯と同等のもの。これをスタミナが不足する休養明けかつ、距離延長の一戦で記録したのだから長距離適性が相当に高い。
本馬もクロワデュノール同様に、前走で自己最高指数を記録した後の一戦になるが、前走がかなりのスローペースだったことで余力を残せていると見ている。一昨年の菊花賞時と比べてもゲートや二の脚が改善され、折り合い面についても許容範囲であり、本命候補に推す。
【能力値3位タイ タガノデュード】
前の位置が取れず、エンジンの掛かりも遅いタイプ。そのためスローペースに泣いたり、後半の仕掛けが遅れたりと、3勝クラスを勝ち上がるのに7戦を要した。しかし、ケイアイセナが大逃げを打ち、緩みなく流れた2走前の小倉大賞典では初の重賞制覇を達成した。
その小倉大賞典は大外16番枠からやや出遅れ、促しても進んで行かずに後方から中目に誘導。道中でも後方外目で進め、位置を挽回する機をうかがっていたが、ペースが緩まず動けなかった。
3~4角では4頭分外から仕掛け、4角出口ではかなり外を回すことになったが、押し上げて好位列で直線へ。序盤でじわじわ伸びて2列目まで上がり、ラスト1Fで逃げ粘るケイアイセナを唯一、追い詰めてクビ差で捉え切った。
当時は標準的な馬場で前後半4F46秒7-46秒6の緩みない流れ。差し有利の展開ではあったが、3~4角から仕掛けてロスを作りながらも、最後までしぶとかった。
本馬はスピードこそ速くないが、トップスピードを長く維持するスタミナに長けたタイプ。緩みない流れとなった前走の大阪杯も後方からの追走だったが、3~4角でかなり大外をぶん回した中で、3着ダノンデザイルとクビ差の4着に健闘している。
本馬は人気以上の実力があり、スタミナがあるので長距離自体は悪くないと見ている。ただ、強引な捲りでもしない限りは3角までに良い位置を取るのが難しそう。善戦はあっても馬券圏内突入まではどうか。
【能力値5位 アクアヴァーナル】
前走の阪神大賞典で2着。ここでは4番枠から五分のスタートを切り、押し進めてハナへ。スタンド前で外からファミリータイムに競られたので、同馬を行かせて2列目の最内で進め、向正面でも2列目の内を維持する。
3角でひとつ外に誘導し、4角で逃げるファミリータイムに楽に並びかけて先頭列で直線へ。序盤でしぶとく粘って先頭に立ったが、ラスト1Fで甘くなってしまい、アドマイヤテラに並ぶ間もなく差し切られて3馬身差で敗れた。
アドマイヤテラの章でも触れたように、当時はかなりの高速馬場かつ、かなりのスローペース。前有利の展開に恵まれての2着だった。
本馬は2走前の万葉S(京都芝3000m)でも勝利しているが、この時も標準的な馬場のなか、中盤でハロン13秒台が連続する超絶スローペースの2番手で進めており、前有利の展開に恵まれていた。ただ、斤量52kgの恩恵はあったにせよ、3~4角でペースが上がってからも楽に加速し、最後の直線でも鋭く伸びてはいた。
この2戦のようにハナから楽に控えたり、加速したりする器用さはメンバー屈指。このタイプは調子の面で問題なければ大崩れしにくいが、今回は相手が強くなる点がネックとなる。
距離延長は歓迎のシンエンペラー
シンエンペラーは2024年の日本ダービー3着馬。コンクリートレベルの高速馬場かつ前有利展開となった中で本馬は出遅れ。中団中目まで挽回し、シックスペンスをマークしながら進めたが、4角で同馬が甘くなって下がったことで、仕掛けが遅れてしまった。
本馬はキレる脚があまりなく、前の位置を取ってこそのタイプ。この不利がなければ2着はあったと見ている。
3歳秋のジャパンCでは2着同着。逃げ馬不在のなか、7番枠からまずまずのスタートを切ると押してじわっとハナを主張。ハナに立つとかなりのスローに落とし込んだ。向正面で外からドゥレッツァが捲ってくると、これを行かせて2列目の最内に収める。
3~4角でもペースが上がらず、包まれながら直線序盤はドゥレッツァの後ろで仕掛けを待ち、ラスト2F手前で追われて4番手。ラスト2Fで最内から伸び始めて3番手に上がったが、ここでドウデュースにかわされる。ラスト1Fでは同馬との差を詰めたが、クビ差の2着同着までだった。
当時は高速馬場で前後半5F62秒2-58秒5の超絶スローペース。前有利の展開で包まれて仕掛けが遅れたことが痛かった。向正面でドゥレッツァの外2番手を取れば、勝っていた可能性が高い内容だった。
その次走のネオムターフC(2025年)では逃げ切り勝ち。その後は2度の肺出血もありスランプに陥ったが、立て直された3走前のジャパンCでは3着ダノンデザイルと0秒6差に善戦した。
その3走前は16番枠で終始好位の外々を追走するロスを作り、道中も落馬でカラ馬となっていたアドマイヤテラに少し絡まれ、ラスト2Fでは外のマスカレードボール、カランダガンに伸び負けして接触。位置を下げる不利も受けた上での上記着差であった。
前走のネオムターフCでは、昨年勝った舞台でロイヤルチャンピオンに1秒0も離された4着。調子を落としているのは確かだが、肺出血は回復するのにおおよそ1年と言われており、現在は十分な時間が経過している(個体によっては肺出血を繰り返す場合はある)。
本馬は凱旋門賞馬ソットサスの全弟であり、2100mの前走では追走に忙しさを見せていたことからも、距離延長は歓迎のはず。道中で柔軟に位置を取ってくる岩田望来騎手への手替わりも好ましく、スローペースを先行しての上位争いに期待する。
能力上位のクロワデュノール、ヘデントールはここで上昇し切れない可能性もあるだけに、個人的には対抗評価も視野に入れている。
※パワーポイント指数(PP指数)とは?
●新馬・未勝利の平均勝ちタイムを基準「0」とし、それより価値が高ければマイナスで表示
例)クロワデュノールの前走の指数「-26」は、新馬・未勝利の平均勝ちタイムよりも2.6秒速い
●指数欄の背景色の緑は芝、茶色はダート
●能力値= (前走指数+前々走指数+近5走の最高指数)÷3
●最高値とはその馬がこれまでに記録した一番高い指数
能力値と最高値ともに1位の馬は鉄板級。能力値上位馬は本命候補、最高値上位馬は穴馬候補
《ライタープロフィール》
山崎エリカ
類い稀な勝負強さで「負けない女」の異名をとる競馬研究家。独自に開発したPP指数を武器にレース分析し、高配当ゲットを狙う! netkeiba.com等で執筆。好きな馬は、強さと脆さが同居している、メジロパーマーのような逃げ馬。
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