【新潟記念回顧】ラスト1F12.0に見えたゾロアストロの精神力 "内"を突いた岩田望来騎手の好判断も冴える

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サマー2000シリーズの存在意義
サマー2000シリーズ最終戦の新潟記念はゾロアストロが制し、重賞2勝目。2着ロデオドライブ、3着ダノンシーマで決着した。
11頭中GⅠ馬が5頭。顔ぶれは明らかにサマー2000シリーズのそれではなかった。スーパーGⅢなんてフレーズも使われたように、別定になった新潟記念は着実に変化した。一方でサマー2000シリーズの色がかなり薄まり、シリーズ完結のムードは消えつつある。それはそれで考え直さないと、サマー2000シリーズの存在意義が問われる。
もともとGⅠ馬の始動戦とサマーシリーズは噛み合わない面があり、長い間、札幌記念のジレンマになっていたが、それが新潟記念に移った印象がある。やはりシリーズ最終戦はそれらしい顔ぶれで争ってもらいたいもの。落としどころが悩ましい。
そういったシリーズの課題はさておき、出走馬の半数近くがGⅠ馬という一戦は新潟のファンにとって歓迎だったようで、かなり大勢の人が夏の新潟最終日に駆けつけてくれた。これは喜ばしい。
そんな夏競馬最大の珠玉の一番は大雨のなか行われた。これでも天気予報より新潟の空は我慢してくれていた。最後の最後、レースの直前でこらえきれず、溜めこんだ雨粒を一気に吐き出した。馬場発表は稍重だったが、直線の攻防を見る限り、レース中の雨が与えた影響は大きかったようだ。
レース中の大雨がカギに
この日の新潟芝は前日よりさらに各馬のコース取りが外に寄っていた。荒れた内を避ける傾向も、終わってみれば勝ったゾロアストロは馬群の内から抜け出した。だが、これもインではなく、馬場の真ん中よりやや内寄りであって、外の馬群に揉まれないギリギリのライン。そこを突いてきた岩田望来騎手の判断が冴えた。
一方で、レース中の大雨によってこれまであった内外の差は消え、いくぶんフラットな方向に馬場状態が動いていた可能性はある。いわゆるどこを通っても同じ馬場というやつで、こうなると距離ロスを避ける効果が威力を発揮する。また、どこを通っても同じぐらい悪化した馬場では、そういった馬場への耐性、ゴールまで我慢強く走れる精神力と持続力が問われた。
前後半1000mは1:00.6-59.0で新潟記念らしいスローだったが、ラスト600mは11.0-11.2-12.0で、明らかにラスト200mでラップを落とした。ここを乗り越えられる精神力が必要だった。
勝ったゾロアストロはどちらかというとエンジンのかかりが少し遅いタイプ。重賞初制覇だったきさらぎ賞も最後の最後にひと伸びして決めた。瞬発的なスピードより持続力に長けたタイプであり、岩田望来騎手の好判断と最後に少し時計がかかった展開もプラスに働いた。
直線が長い2000mはベストの舞台。今後は皐月賞のような時計の速い競馬になった際の対応は課題になるが、キャリア7戦の3歳馬の成長に期待したい。
ロデオドライブの2000mへの適性
2着ロデオドライブは距離延長になんとか対応できた。スローペースにより、直線で前の馬が粘ったため、進路を失ったのは痛かった。ゾロアストロとの差は仕掛けが遅れた分だが、ゴール前での目立つ末脚は仕掛けが遅れた分、脚が溜まったという側面もある。
2000m戦のロングスパート戦になった際にどこまで脚を残せるか。これは今回の競馬では判断できない。ハイレベルな2000m戦なら必ず持続力が問われてくる。
3着ダノンシーマは好位から早めに逃げたサヴォーナを捕まえにいく形になった分、目標になった。最後の200mが12.0とかかったように、最後は少し苦しくなりかけたが、大きく崩れなかった。春に長い距離を使って培った体力は発揮できたのではないか。
おそらく、良馬場の方が遥かにパフォースマンスをあげてくる。このメンバー相手に先着を許したのは3歳馬だけであり、次走が楽しみになった。
11着ステレンボッシュ、8着チェルヴィニアら実績馬たちは直前の雨で滑る馬場になったのが痛かった。休み明けでもあり、力を出し切っていないので、見直す余地はあるだろう。

《ライタープロフィール》
勝木 淳
競馬を主戦場とする文筆家。競馬系出版社勤務を経てフリーに。優駿エッセイ賞2016にて『築地と競馬と』でグランプリ受賞。主に競馬のWEBフリーペーパー&ブログ『ウマフリ』や競馬雑誌『優駿』(中央競馬ピーアール・センター)にて記事を執筆。Yahoo!ニュースオーサーを務める。『名馬コレクション 芦毛の怪物たち』(ガイドワークス)に寄稿。
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