【毎日王冠回顧】セイウンハーデスが3歳勢を退け重賞3勝目 人馬ともベテランの強みが光った一戦
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【毎日王冠回顧】セイウンハーデスが3歳勢を退け重賞3勝目 人馬ともベテランの強みが光った一戦

2026/10/05 10:50
勝木淳
2026年毎日王冠、レース結果,ⒸSPAIA

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終わってみれば実績あるベテラン勢

天皇賞(秋)のステップレースである秋の東京伝統のGⅡ毎日王冠はセイウンハーデスが制し、重賞3勝目。2着ホウオウビスケッツ、3着レディネスで決着した。

上位人気はリアライズシリウス、ライヒスアドラーの3歳馬に前年3着の4歳サトノシャイニングが占め、若い馬たちに注目が集まった一戦は結果、7歳セイウンハーデス、6歳ホウオウビスケッツのベテラン勢がゴールシーンでスポットライトを浴びた。

セイウンハーデスは昨年この舞台のエプソムCを1:43.9のレコードで制し、ホウオウビスケッツは毎日王冠2年連続2着で、昨年は1:44.1で走っていた。この舞台が得意であり、かつ高速決着で上位にきた経験がある2頭によるワンツーは終わってみれば納得だが、若い世代が壁に跳ね返されてしまったのは物足りなさもある。

元気なベテランを倒していかないと前には進めない。ここで足止めを食らったことで、菊花賞ではなく、中距離に照準を合わせた3歳馬たちの評価が一層難しくなった。

勝ったセイウンハーデスは前走安田記念でタイム差なしの4着。近況も文句なしだったが、5番人気だったのは7歳という年齢から受けるイメージと面白そうな3歳馬が出走してきたから。ここが完全に人気の盲点になった。

前につけて、ちょっと最後に甘くなる競馬もある馬だが、東京だと粘りが違う。長い直線と緩やかな坂を駆け上がってから続く最後の200~100mが合うようで、ゴール前で伸びてくる。

毎日王冠も内枠からすっと好位につけると、緩い流れが続く中盤できっちり折り合い、直線まで脚を溜めることができた。幸英明騎手とよほど手が合うようで、開幕週の東京において理想的な競馬だった。


浦河で70年以上続く牝系

前半1000m通過59.8は馬場を考えると、かなりのスロー。逃げるホウオウビスケッツは過去2年、59.4、58.6というペースを刻んでおり、今年はもっとも遅い。

スタートが速かったリアライズシリウスが先を見据えて控える姿勢を見せたので、ホウオウビスケッツは容易く先手を主張できた。個人的にはスタートを決めた以上、リアライズシリウスが主導権を渡さずに走るのも見たかった。

歴戦の逃げ馬ホウオウビスケッツはハナに立つと、一気にペースを落とし、リアライズシリウスをかく乱していく。隊列が決まると、このコースで動くのは難しい。前半600mは12.4-10.9-12.0。400~600mでガタンとペースを落とし、そのままレースは勝負所まで進んだ。

後半800mは11.8-11.1-11.2-11.6。じわっと早めにペースが上がったこともセイウンハーデス、ホウオウビスケッツの適性に合った。溜めすぎて瞬発力勝負に持ち込むと分が悪い。1、2着馬は鞍上が騎乗馬の特性を知り尽くしており、2頭も自分の得意とするペースをよく理解していた。人馬ともベテランの強みが好走へ導いた。

セイウンハーデスはこの勝利で重賞3勝目。馬主の西山茂行氏は病気を克服し、今週から再び競馬場に姿を見せた。その最初の週に目の前で愛馬がGⅡを勝った。馬主孝行な馬であり、なにか不思議な力を感じた。

セイウンハーデスの牝系は生産者の鮫川啓一牧場にとって代々受け継がれてきた牧場の屋台骨のような血統で、5代母トサモアーから続いており、70年以上の年月が流れた。一族からはスズカコバン、テイエムメガトン、レイパパレら活躍馬が多数出ている。

鮫川啓一牧場のウェブサイトに掲載されている大切な功労馬ポジーもこの牝系の出身だ。セイウンハーデスの母ハイノリッジは同馬の全妹ニシノサリーナや本年生まれた当歳を残しており、姉ペイシャノリッジ、セイウンノウヒメも含め、この血脈はまだまだ夢の続きをみられそうだ。

先週のスプリンターズSを制したピューロマジックやシリウスSを勝ったヴァルツァーシャルも長年、それぞれの牧場が牧場がつないできた血であり、日高には雄大な大河物語のような血がたくさんある。


勝ちに等しい2着ホウオウビスケッツ

2着ホウオウビスケッツは毎日王冠で逃げて3年連続2着。今回はタイム差なしのハナ差だったので、相当悔しかったにちがいない。レースは有力先行型のリアライズシリウスを封じるなど完璧に近かった。セイウンハーデスに並ばれてからも抵抗する姿勢を見せており、勝ちに等しい内容だった。それでも負けは負け。だから悔しさも大きい。

GⅠ挑戦も選択肢だが、2年ぶりの勝利を求め、1800mにこだわるのもありだろう。鳴尾記念なら57キロで出走できる。

3着はレディネス。道中はセイウンハーデスの背後につけ、マークするような形で進んだ。繰り出した上がり600m33.5はセイウンハーデスと同じなので、着差は位置取りの差だが、もう少し切れる脚がないと東京は難しそうだ。

それでいて0.2差3着まで来たのは充実している証で、おそらく今がもっとも力が出る期間だろう。こちらは阪神芝1800mの実績もある。それこそ鳴尾記念でおもしろい。


2026年毎日王冠、レース回顧,ⒸSPAIA


《ライタープロフィール》
勝木 淳
競馬を主戦場とする文筆家。競馬系出版社勤務を経てフリーに。優駿エッセイ賞2016にて『築地と競馬と』でグランプリ受賞。主に競馬のWEBフリーペーパー&ブログ『ウマフリ』や競馬雑誌『優駿』(中央競馬ピーアール・センター)にて記事を執筆。Yahoo!ニュースオーサーを務める。『名馬コレクション 芦毛の怪物たち』(ガイドワークス)に寄稿。

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