【スワンS】その後29年破られなかったレースレコードV スギノハヤカゼが制した1996年をプレイバック
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【スワンS】その後29年破られなかったレースレコードV スギノハヤカゼが制した1996年をプレイバック

2026/10/05 18:00
緒方きしん
プレイバック1996年 スワンステークス,ⒸSPAIA

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前年覇者ヒシアケボノは30キロ増で参戦

今週はスワンSが開催される。過去にはキンシャサノキセキやスーパーホーネットらが制したレース。今回はそんな中から1996年の一戦をピックアップして当時を振り返っていく。

1996年のスワンSは、前年覇者のヒシアケボノが参戦。前年の勝利以降、スプリンターズS勝ちを含む5戦連続3着以内と安定した成績を残し、マイルCSでも3着に入るなど短距離・マイル戦線をけん引してきた。ただ、今回は前走から30キロ増の馬体重も影響して3番人気止まり。ライバルも強力だった。

1番人気はフジノマッケンオー。1994年には最優秀ダートホースに輝いた馬だが、この年は春にダービー卿CTを制し、高松宮杯5着と芝でも快速ぶりを披露。前走のセントウルSでは2着に2馬身差をつけて完勝し、充実ぶりが目立っていた。

続く2番人気は、これがデビュー8戦目のマサラッキ。ここまで1着4回、2着1回、5着2回と掲示板を外さない安定感を見せ、前走は2着に2馬身半差をつける余裕の勝ちっぷり。昇級初戦ながら、高い評価を集めた。

また、ヒシアケボノをはじめ、多くの外国産馬が顔をそろえたレースでもあった。スギノハヤカゼ、ビコーペガサス、シンコウキング、エイシンガイモン、キングオブケン――。いずれもスピードを武器に戦ってきた実力派で、外国産馬が活躍した時代を象徴するようなメンバーといえた。

2連勝中のシンコウキングはこれが重賞初挑戦。ほかにもOP特別の菩提樹S、関屋記念と連勝してきたエイシンガイモン、前走のセントウルSで3着に好走したスギノハヤカゼなど、一発を秘めた存在も多かった。

大混戦の追い比べ、マル外の快速馬2頭がワンツー

揃ったスタートから先手を奪ったのは、6枠11番のニホンピロスタディ。さらにメンバー唯一の牝馬、ノーブルグラスが続く。そのすぐ横からは580キロと雄大な馬体のヒシアケボノ。かなり引き締まった流れになる。外からはフジノマッケンオーと武豊騎手が遅れて位置を上げていくが、周りは動かずに見送った。

隊列が決まる頃には、ニホンピロスタディが単独先頭に収まり、2番手にヒシアケボノ、3馬身ひらいた3番手にノーブルグラスとマサラッキ。その後ろは密集したなかをそれぞれの鞍上が睨み合いながら、ハイペースを維持して進んでいく。後方集団にはスギノハヤカゼやビッグショウリ。各馬、仕掛けどころを探る。

3コーナーに入ると各馬が追い出し、馬群は一気に凝縮した。それでも直線に入るまで、ニホンピロスタディが先頭をキープ。かなりのハイペースとなるなか、地力勝負へと持ち込まれた。

直線に入ると、ヒシアケボノ、マサラッキがニホンピロスタディに襲い掛かる。外目を伸びるビコーペガサスやスギノハヤカゼ、シンコウキングの脚色も良い。各馬が横に大きく広がり、どの馬が抜け出すかの大混戦となった。

マサラッキが早めに先頭に立つが、後続も諦めない。シンコウキングがやや一杯になるも、ビコーペガサス、スギノハヤカゼは伸び続ける。ビコーペガサスがマサラッキを捉えたかというところで、最後の最後にスギノハヤカゼが2頭をまとめて差し切ってゴールイン。

1着スギノハヤカゼ、2着ビコーペガサス、3着マサラッキは、それぞれクビ差の大接戦。外国産馬が多く顔をそろえた一戦は、マル外2頭のワンツーで決着した。

勝ち時計の1:19.3はJRAレコードを更新する猛時計であった。4着にはシンコウキング、5着には1番人気のフジノマッケンオーが入った。ヒシアケボノは早めの進出で力尽き、11着と敗れた。

配当は単勝1,220円、馬連6,880円。7番人気→8番人気の組み合わせとしてはあまり配当が跳ね上がらなかったのは、ファンも大混戦を予期していたということであろう。

マル外のオフトレイルが史上初の連覇へ

スワンSで激突した各馬は、その後も短距離路線を盛り上げた。続くスプリンターズSでは勝ち馬こそ出なかったものの、シンコウキングが3着、ヒシアケボノが4着、スギノハヤカゼが5着と、スワンS組が掲示板に3頭食い込んだ。

スギノハヤカゼは翌年もスワンSに出走すると、歴史的快速馬タイキシャトルには敗れたものの、2着に健闘。さらにマイルCSを挟んで挑んだCBC賞を制し、スプリンターズSでも2着と存在感を示した。その後も2000年まで走り続け、最後のシーズンにもセントウルSで3着に入るなど、長く活躍した。

2着のビコーペガサスも、翌年にはフェブラリーSで4着、シルクロードSで2着など、芝・ダートを問わず活躍を見せた。その後は安田記念、高松宮記念でいずれも6着に終わり、ターフを去った。種牡馬としては少ない産駒ながらJRA勝ち馬を複数輩出し、計8勝(勝ち上がり率50%)を挙げたものの、繁殖入りした牝馬はおらず、その血は途絶えている。

マサラッキも種牡馬入りしたものの、産駒は2頭のみで血は断絶。一方、シンコウキングの血は今も残る。母父シンコウキングのビラゴーティアラはJRAで5勝を挙げ、繁殖入り後も勝ち上がる産駒を複数送り出している。父フィエールマンの3歳牝馬ガミーヌが今年8月に勝ち上がっており、その血はさらに繋がっていきそうだ。

1996年のスワンSは前年覇者ヒシアケボノが連覇を逃し、勝ったスギノハヤカゼも翌年は2着。実はスワンSでは、これまで連覇を達成した馬がいない。今年は、昨年の覇者オフトレイルが参戦し、史上初の連覇に挑む。

そのオフトレイルは昨年、20年以上破られることのなかったスギノハヤカゼのレコードを更新する偉業を達成した。奇しくも、オフトレイルもスギノハヤカゼ、ヒシアケボノと同じマル外の快速馬。今度は連覇で歴史を塗り替えるか──。

《ライタープロフィール》
緒方きしん
札幌生まれ、札幌育ちの競馬ライター。家族の影響で、物心つく前から毎週末の競馬を楽しみに過ごす日々を送る。2016年に新しい競馬のWEBメディア「ウマフリ」を設立し、馬券だけではない競馬の楽しみ方をサイトで提案している。好きな馬はレオダーバン、タイキシャトル、ダイワスカーレット、ドウデュース。

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