【アルテミスS回顧】C.ルメール騎手が示した勝負所の見極め それに応えたプルヴィナルの高い完成度
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【アルテミスS回顧】C.ルメール騎手が示した勝負所の見極め それに応えたプルヴィナルの高い完成度

2026/10/26 11:00
勝木淳
2026年アルテミスS、レース結果,ⒸSPAIA

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C.ルメール騎手の巧みさ

阪神JFの前哨戦アルテミスステークスはプルヴィナルが制して重賞初制覇。2着ローズサルーテ、3着シティオブドリームで決着した。

2、3歳牝馬戦線は阪神JF、桜花賞まで阪神芝外回り1600mという舞台で直結する。その前哨戦アルテミスSは舞台こそ東京だが、マイルという距離でつながっている。

牝馬が2歳10月に東京芝1600mで目一杯に走ると反動が心配になる一方で、明確に完成度と実力差が出る。12月の阪神JFへ向かうにあたり、アルテミスSは勢力図をつくる恰好の材料になる。

東京芝1600mが厳しい舞台であることは騎手も百も承知で、アルテミスSが平均ペース以上に流れることは滅多にない。今年もご多聞に漏れずスローペース。出走馬のなかで唯一前走逃げたジーティーキャリーが先導する流れは序盤600m36.2、800m通過49.0と緩かった。

ラップ構成は12.4-11.4-12.4-12.8。3コーナーに向けてラップを落としながら流れていった。一団で進む折り合い合戦。勝負所まで淡々と進んでいくと思われたところで、動いて静寂を破ったのが勝ったプルヴィナルだった。

鞍上はC.ルメール騎手、キャロットファームの勝負服、東京向正面での外まくりはレイデオロを思い出す。ルメール騎手の凄みはあくまで勝てるポジションへの押し上げであり、勝負を決めにいかない。折り合いを無視し、レースを壊しにいかない。

プルヴィナルも後方から動いて2番手まで進出したところでしっかり息を入れた。800m通過49.0では4コーナー2番手付近でないと勝負にならない。いつでもどこからでも勝てるポジション取りはルメール騎手の代名詞といっていい。

母クルミナル譲りの完成度

ルメール騎手の手腕も見事だったが、プルヴィナルの完成度の高さも際立った。一般的に難しいとされるキャリア2戦目の競馬かつ初の東京コースで、中盤で動くというハイレベルな戦略を実行できたのは、プルヴィナルの力がなければなし得ない。折り合いを崩さなかった聡明さは光った。夢中になって走っていなかった。

母クルミナルは3歳1月と遅いデビューだったが、連勝でクラシック出走権を確保し、桜花賞2着、オークス3着と完成度が高かった。残念ながらオークスを最後にターフを去ったが、2番仔ククナはアルテミスS2着、クイーンC3着から桜花賞、オークスに駒を進めた。

その下のアライバルは2戦目で新潟2歳S2着、4戦目のスプリングSも2着だった。その後は長期休養に入り、思うように力を出し切れなかった。とはいえ、2、3歳の重賞戦線で結果を残せる完成度の高さは母譲りだ。

プルヴィナルもクルミナルの資質を大いに受け継いでいる。ただし、きょうだいは故障に阻まれており、プルヴィナルもここから先が大切だ。故障せずに順調に来春へ向かってほしい。

チャンスをつかんだ小林美駒騎手

レースの後半は12.2-11.7-11.4-11.5で46.8。後半が2.2も速く、なかなか差し馬の上位進出は難しかった。レース上がり600m34.6でまとめられると、差し馬は33秒台後半で上がってこないとどうにもならない。中団から後ろでレースを進め、不発に終わった人気馬たちは見直しが必要になる。

2着ローズサルーテは4コーナー7番手から上がり600m34.1で猛追し、2着に入った。展開を考えても大健闘といっていい。さらにコーナー通過順をみても、3コーナーまで後方2番手を進んでおり、4コーナーまでに先に動いていたのも好走要因だろう。

プルヴィナルの動きに応じて、早めに勝負に出た判断が2着好走を呼び込んだ。小林美駒騎手のとっさの判断によって、賞金加算に成功した。

引き続き鞍上を変えずに阪神JFに進むと報じられた。どうやってチャンスをつかむのか。小林美駒騎手はその術をよく知っている。

3着シティオブドリームは野路菊S2着からの参戦。好位につけられるセンスは重賞の舞台でも崩れておらず、メドを立てたといえる。昆貢調教師×横山典弘騎手が手順を踏んでしっかり才能を伸ばしている印象もあり、この先も注目していきたい。

2番人気リスグロワールは8着。レース前からテンションが高く、スローペースに上手く対応できなかった。現時点での完成度の差であって、悲観することはない。

母は10年前のアルテミスSの勝ち馬ながら、本当に化けたのは4歳秋から5歳にかけて。いかにも晩成の血らしい競馬だった。成長曲線がハマってくるまで見守っていこう。


2026年アルテミスS、レース回顧,ⒸSPAIA


《ライタープロフィール》
勝木 淳
競馬を主戦場とする文筆家。競馬系出版社勤務を経てフリーに。優駿エッセイ賞2016にて『築地と競馬と』でグランプリ受賞。主に競馬のWEBフリーペーパー&ブログ『ウマフリ』や競馬雑誌『優駿』(中央競馬ピーアール・センター)にて記事を執筆。Yahoo!ニュースオーサーを務める。『名馬コレクション 芦毛の怪物たち』(ガイドワークス)に寄稿。

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