【プロキオンS回顧】ロードクロンヌが待望の重賞初制覇 ダートの猛者に欠かせない「安定感」という強み

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惜敗続きにピリオド
フェブラリーステークスの前哨戦プロキオンSはロードクロンヌが勝利し、重賞初制覇。2着サンデーファンデー、3着ルシュヴァルドールで決着した。
この冬の京都のダートはなかなか手ごわい。開幕当初から乾燥した馬場状態が続き、ラスト200mで時計がかかるレースが目立った。通常は先行有利が定石の京都ダートだが、差し追い込みの台頭を招き、波乱決着も多くなった。
だが、先週の京都ダートは一転して従来通りの差し馬が届きにくい状態に変わっており、日曜メインもその変化をしっかり頭に入れないと、的中から離れてしまう状況にあった。先行有利の馬場に加え、レース展開もさほど厳しくなく、差し追い込み馬にとって不向きな流れだった。
先手をとったマーブルロックが外から抵抗するサンデーファンデーに競りかけられる場面もあったが、サンデーファンデーが先に引いたこともあり、ハイペースを演出するには至らず。残り600m手前まで12秒台後半のラップが続き、1000m通過は1:01.3。GⅡとしては決して速くない。
勝ったロードクロンヌは一団で進む馬群のなか、好位3番手の外を確保。スピードとセンスをいかんなく発揮できる形をつくれたことが勝因だろう。
昨年3月のオープン入り後、重賞に絞って経験を積んできた。3、2、2、3、2着とまったく崩れず、それも1、2、1、3、1番人気と常に上位人気を背負ってきた。ファンはいつ重賞を勝ってもおかしくないという評価を下してきただけに、この勝利は順当といえば順当だ。
だが、そんな評価を受け続けたとしても、手が届かないのも重賞というもの。だから価値がある。勝てるときには勝たなければならない。そう考えると、ここでタイトルをきっちり手に入れたのは大きい。
万能型のリオンディーズ
今回は12kg増の500kgちょうど。馬体に逞しさが増した。いよいよダートの猛者として完成の域に入りつつある。百戦錬磨の猛者は、今回のようにどんな展開であっても好位で流れに乗り、きっちり抜け出してくる。この安定感こそが強さだ。
母の母サッカーマムはダート重賞2勝ロードゴラッソの母。その姉であり、ロードクロンヌの母であるリラコサージュは秋華賞3着など芝中距離で活躍したが、産駒はダート主戦の馬が多い。サッカーマムや父ブライアンズタイムの影響だろう。
ロードクロンヌの父リオンディーズはミュージアムマイルやテーオーロイヤルなど芝の活躍馬も目立つが、その魅力はズバリ万能性。距離も問わないが、馬場も問わない。
1月18日終了時点のJRA成績は芝160勝、ダート131勝。ダートは1200mで30勝、1800mも38勝と数字に差がない。リオンディーズの万能性はキングカメハメハの特徴そのもの。後継種牡馬はたくさんいるが、特性を色濃く表現するのがリオンディーズではないか。
収穫があったサンデーファンデー
2着サンデーファンデーは11番人気とすっかり人気を落としていたが、中京で行われた昨年のプロキオンSの勝ち馬であり、これは完全に盲点だった。とはいえ、この1年の好走は夏のオープン特別・名古屋城S(3着)だけ。逃げられないレースが続き、苦しんでいたのは事実。人気が落ちたのも納得だ。
一方で、その間に逃げないレースパターンを模索し続けており、それが好走に結びついたのは収穫だった。名古屋城Sに続いて騎乗した角田大和騎手とは【0-1-1-0】と手が合う。引き続き注目したいコンビだ。ロードクロンヌのところでも述べたが、ダートの猛者はどんな展開でも好位から抜け出せる安定感が強み。番手からの競馬はその安定感を呼び込む可能性がある。
3着ルシュヴァルドールは2走前まで差し一辺倒で安定感を欠いていたが、前走・ベテルギウスSで坂井瑠星騎手が好位からの競馬を施し、勝利したことがきっかけとなった。
今回は最内枠を利して、終始優位な好位のインを確保。直線ではロードクロンヌの外にタイミングよく持ち出し、上位争いに顔を出した。実にスマートな競馬だった。この安定感は今後も味方につけたいところだ。
先行勢の競馬だったことを考えると、4コーナーで大外を回った追い込み勢の5着セラフィックコールと6着ハピは馬場と展開に泣いた。安定感こそ欠く2頭だが、破壊力はある。
セラフィックコールは中央のダートでは少し時計が速すぎる印象であり、ハピは逆に時計が出る軽いダートに強い。馬場さえ合えば、もっと着順も上になる。狙いどころを定め、きっちり仕留めたい。

《ライタープロフィール》
勝木 淳
競馬を主戦場とする文筆家。競馬系出版社勤務を経てフリーに。優駿エッセイ賞2016にて『築地と競馬と』でグランプリ受賞。主に競馬のWEBフリーペーパー&ブログ『ウマフリ』や競馬雑誌『優駿』(中央競馬ピーアール・センター)にて記事を執筆。Yahoo!ニュースオーサーを務める。『サラブレッド大辞典』(カンゼン)に寄稿。
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