【シルクロードS回顧】16番人気フィオライアが重賞初制覇 父ファインニードルの産駒データに激走の予兆あり

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京阪杯と正反対のスロー
高松宮記念に続くスプリント戦線のシルクロードステークスはフィオライアが勝利し、重賞初制覇。2着レイピア、3着ヤマニンアルリフラで決着した。
前日の土曜日には小倉芝1200mで3連単5000万円超馬券が飛び出し、シルクロードSも18頭立て16番人気フィオライアが優勝と、冬の短距離戦が荒れまくった。WIN5はキャリーオーバーとなり、厳冬競馬の難しさを思い知る週末だった。
フィオライアは途中、ロードフォアエースに先頭を奪われる場面こそあったが、スタート直後に迷わず先手をとったことが最大の勝因だろう。なにせ大混戦のハンデ戦。実績の差はハンデが相殺してくれる。
レースラップは前後半600m34.5-33.5のスロー。同コースの京阪杯は32.7-34.7なので、トップハンデ58.5kgを背負った8着エーティーマクフィにとっては、勝った京阪杯とはまるで勝手の違う流れになった。コースが同じであっても、内容はまるで違う。これが競馬の面白さだ。
フィオライアはロードフォアエースやエーティーマクフィ、カルプスペルシュら好位につけた人気勢を最後はすべて振り払っており、恵まれただけではないだろう。
父の血を色濃く継ぐフィオライア
フィオライアは京都コースに勝ち鞍こそなかったが、札幌2勝、新潟1勝、小倉1勝と勝利の大半は平坦コースであげたものだった。平坦での強さは父ファインニードル譲りだ。
1月25日までの産駒データをみても、勝率トップ3は札幌、函館、新潟。思えば昨年の覇者エイシンフェンサーも同産駒であり、2年連続親子制覇を飾った。ディープインパクトやキングカメハメハならよくあることだが、産駒の数がそれより少ないにもかかわらず、連覇を達成したのはすばらしい。
また、ファインニードルの特徴として、1~3月の芝で勝率13.7%と高い数値を誇っている点も見逃せない。「冬のファインニードル」はしばらく使える作戦だ。
さらにフィオライアとエイシンフェンサーはともに牝馬で、優勝時の年齢は5歳。ファインニードル産駒の年齢別成績をみると2歳がやや低く、そこから4歳で頂点を迎え、5歳になってもさほど落ちない。成長曲線はどちらかといえば緩やかで、スプリンターといえど晩成血統だ。
思えば自身も現役時代、5歳で春秋スプリントGⅠ連勝を決めた。父の色が濃く出る傾向がある。加えてフィオライアには母の父サクラバクシンオーという心強い血が流れている。90年代の名スプリンターも、スプリンターズSを圧勝したのは5歳時だった。
血統でいえば、母フルールシチーとその産駒すべてを管理したのが西園正都調教師だ。今春に定年を迎える解散厩舎のひとつ。残りわずかというタイミングでJRA重賞32勝目をあげた。このレースにはビッグシーザーも出走していたが、勝ったのは人気薄の方。「同厩舎の複数出走は人気薄を買え」という懐かしい馬券術が有効だった。
西園正都厩舎といえば、ほかにもヴィクトリアマイルを勝ったジュールポレールをはじめ、タガノビューティーやアフリカンゴールド、ハクサンムーン、シゲルスダチ、シルポートと多くの個性派の名があがる。特に穴党にとっては忘れられない厩舎だ。
騎乗した太宰啓介騎手は24年アンタレスSミッキーヌチバナ以来、JRA重賞8勝目。芝に限ると、12年札幌記念フミノイマージン以来で実に13年半ぶりとなる。
また、一口クラブ馬主の老舗である友駿ホースクラブにとっても、JRA重賞は13年マーチSグランドシチー以来、約13年ぶりのタイトル。さらにフィオライアはクラブ史上初となる牝馬の重賞ウイナーとなった。
ちなみに、牝馬のJRA獲得賞金稼ぎ頭は母フルールシチーであり、フィオライアは母の記録を更新した。馬主サイドにとってかけがえのない血統だ。調教師、騎手、馬主、そして血統と幸せに満ちた結末だった。
ブリンカーで息を吹き返したヤマニンアルリフラ
2着レイピアは京阪杯より明らかに遅い流れになり、少し前で競馬できたことで、前進できた。ここ2走で馬体重14kg増と目下、成長著しい。
差しに構える競馬も板についてきており、今後も重賞戦線の安定格になってきそう。時計勝負にも対応できるようになってきたので、重賞タイトルはかなり近い。
3着ヤマニンアルリフラは昨夏の北九州記念優勝後は3戦連続凡走。そのため人気を落としていたが、相手関係を考えれば好走できる力は十分あった。
それを引き出す策として、今回はブリンカーを着用してきた。最後まで集中して走れたことで、末脚を引き出すことに成功した。ブリンカーで心身が噛み合ってきたとなると、得意の平坦コースでさらなる勝利の上積みも見込めそうだ。

《ライタープロフィール》
勝木 淳
競馬を主戦場とする文筆家。競馬系出版社勤務を経てフリーに。優駿エッセイ賞2016にて『築地と競馬と』でグランプリ受賞。主に競馬のWEBフリーペーパー&ブログ『ウマフリ』や競馬雑誌『優駿』(中央競馬ピーアール・センター)にて記事を執筆。Yahoo!ニュースオーサーを務める。『サラブレッド大辞典』(カンゼン)に寄稿。
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