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【スプリングS回顧】アウダーシアが未勝利からの連勝でタイトル奪取 津村明秀騎手の大胆な騎乗が光る

2026/03/16 10:45
勝木淳
2026年スプリングS、レース結果,ⒸSPAIA

ⒸSPAIA

まだまだ混戦のクラシック

皐月賞トライアルのスプリングステークスはアウダーシアが制し、重賞初制覇。2着アスクエジンバラ、3着アクロフェイズで決着した。

にわかにクラシック戦線が混戦を呈している。スプリングSも、終わってみれば前走未勝利勝ち直後のアウダーシアが勝ち、GⅠ3着馬アスクエジンバラは敗れた。同馬は2勝+重賞2着ですでにクラシック出走を確定させている身ではあるものの、重賞タイトルには手が届かなかった。これを試走と受けとっていいのか、正直迷うところだ。

弥生賞ディープインパクト記念も未勝利勝ち直後のバステールが制しており、2歳のうちに実績を残していた馬が敗れるケースが目立つ。共同通信杯のリアライズシリウスやきさらぎ賞のゾロアストロは実績十分であり、素直に主役級に評価できるが、どうも少しすっきりしない。

一方で、突き抜けるような存在がいないクラシック戦線は予想のしがいがある。どの馬が強いのか。ファンは大いに語りあかせる楽しみがある。


アウダーシアの武器

スプリングSの1番人気はクレパスキュラー。新馬、特別連勝の勢いとC.ルメール騎手騎乗が評価のポイントだった。

今も昔もこの時期の無敗馬にはスケールを感じる。さらに前走ひいらぎ賞は2着リゾートアイランドがジュニアカップ(L)を勝ち、5着ヒシアイラも次走1勝クラスVと相手も弱くない。実績馬アスクエジンバラに対抗できる魅力はあった。結果的に、クレパスキュラーの挙動がレース展開に与えた影響は大きかった。

先手をとったフレイムスターが1、2コーナー通過後にペースを落としにかかったときに、クレパスキュラーが動いた。ペースダウンに対応できず、行きたがった形だが、ルメール騎手の判断は折り合い専念ではなかった。

我慢させてリズムを乱すよりは前で落ち着かせようという意図ではあったものの、クレパスキュラーにはそれが伝わらなかった。キャリア3戦目、前2戦は先行策をとっていただけに無理もない。競馬を覚えるのはまだまだこれからだろう。

クレパスキュラーのポテンシャルにかける競馬が、厳しい流れを招いた。残り1000mはすべて11秒台。それも800m通過後から11.3-11.4と速く、先行勢は3コーナー付近で早くも苦しくなった。ラストは11.9-11.7-11.7と消耗戦になり、これに付き合わなかった差し馬が台頭した。

勝ったアウダーシアは6月初週の新馬デビューの好素材も、やや切れ味を欠き、今年2月にようやく初勝利をあげた。

母リリーノーブルは阪神ジュベナイルフィリーズ、チューリップ賞、桜花賞、オークスと王道を進み、2着→3着→3着→2着。ラッキーライラックやアーモンドアイ相手では生まれた年が悪かったとしかいえないが、瞬発力では見劣った。

それでも常に上位の成績を残したように、ルーラーシップ産駒らしい持続力が武器。アウダーシアはそんな母の特徴をしっかり受け継いでおり、待って仕掛けては届かない。津村明秀騎手は前半で脚を溜め、3コーナーから動く競馬を選択した。これが見事に長所を引き出した。

馬群の大外を回るという荒っぽい競馬がアウダーシアには合う。クレパスキュラーが動いてくれて展開がハマった面は否めないが、大外を動いて差したのは価値がある。アウダーシアの武器をはっきりさせてくれた。馬場の内側が悪くなるようなら、皐月賞で再現があっても不思議はない。


アスクエジンバラは変わり身期待

2着アスクエジンバラは控える競馬を試み、脚質の幅を広げることができた。道中も外を意識していたが、結果的にアウダーシアに外から来られ、それを受ける形になった分、最後はクビ差及ばなかった。

勝負所での反応は、休み明けを使われたことで変わってきそうだ。今度はもう少し早めに動けるのではないか。

3着アクロフェイズは1、2着馬より前に位置し、早めにペースアップする展開に結果的には巻き込まれる形になったか。本来なら勝ち筋にいたはずで、この着差は決して悲観しなくていい。

兄アルテヴェローチェがマイルから徐々に距離を短くしていることから、さらなる距離延長は微妙なところだが、父ロードカナロアのこちらは機動性を感じる。立ち回りひとつだろう。


2026年スプリングS、レース回顧,ⒸSPAIA


《ライタープロフィール》
勝木 淳
競馬を主戦場とする文筆家。競馬系出版社勤務を経てフリーに。優駿エッセイ賞2016にて『築地と競馬と』でグランプリ受賞。主に競馬のWEBフリーペーパー&ブログ『ウマフリ』や競馬雑誌『優駿』(中央競馬ピーアール・センター)にて記事を執筆。Yahoo!ニュースオーサーを務める。『サラブレッド大辞典』(カンゼン)に寄稿。

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