【サウジアラビアRC回顧】田村康仁調教師に捧げる重賞タイトル アゴルディーノが鮮やか差し切りV
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【サウジアラビアRC回顧】田村康仁調教師に捧げる重賞タイトル アゴルディーノが鮮やか差し切りV

2026/10/13 12:44
勝木淳
2026年サウジアラビアRC、レース結果,ⒸSPAIA

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スローを差し切ったアゴルディーノ

朝日杯FSに向けてポイントになる重賞サウジアラビアRCはアゴルディーノが制し、重賞初制覇。2着サトノハクマイ、3着フィリオソラーレで決着した。

舞台は東京芝1600mであり、体力勝負で押し切れるコースではない。スタート後、各馬が先手をとる馬を待つような状況のなかグルーヴェンスがハナに立った。前走新潟芝1400mでは前半600m34.3で入っていたため、リズムが合わないのを嫌った形であり、おそらく瞬発力勝負を避ける意味でも覚悟をもって先手を奪った。

このレースではたまに34秒台前半で入って、スタミナ勝負になることもあるが、序盤600m35.5は遅く、今年はこの時点でスローペース確定。前半800m47.8通過に対し、後半が46.6と1.2速かった。12.3-11.8-11.2-11.3のラップは、まさにヨーイドンの競馬で、それも残り400m標識を過ぎてからの勝負になった。

先行勢優位のシチュエーションで勝ったアゴルディーノは4コーナー9番手と展開利はなかった。さらに、内外から馬に挟まれて、とても早めに仕掛けられる状況ではなかったが、鞍上の横山和生騎手は冷静だった。

アゴルディーノのリズムを守り、信頼しきって、進路がクリアになるのを待った。2回の実戦騎乗でよほど手応えをつかんでいたとみえる。追い出したのは残り400mを過ぎたあたりからで、一瞬でトップスピードまで上げていかないと到底届かないが、準備に抜かりはなかった。


競馬の神様による粋な演出

外に出されたアゴルディーノは、左右の馬たちを置き去りにし、繰り出した末脚は2位に0.5差つける上がり600m33.4。これも残り400mから仕掛けて叩き出したものであり、確実に10秒台の末脚を繰り出していたことになる。

売り出し中の新種牡馬エフフォーリアの強さが明確になった。母の父ディープインパクトとの組み合わせはベストマッチングになりそうだ。

この日、アゴルディーノが着用していた黒いメンコに赤い「Y.T」の刺繍は田村康仁厩舎のトレードマーク。中館英二厩舎への臨時貸付が10月20日までと期限が迫るなか、亡くなった田村康仁調教師に最後の勝利を届けた同馬の重賞勝利は、まさにドラマチックな出来事だった。

天に掲げた和生騎手のガッツポーズも印象的で、競馬の神様も粋なことをする。これほどの瞬発力をマイル戦で使えるなら、距離がもう少し延びても問題なさそう。来春まで物語は続いていく予感がある。


データを覆したサトノハクマイ

2着サトノハクマイは中山の新馬を勝って、中3週での出走だった。前走新馬、かつ中3週、前走中山組の好走はこのレースが重賞になってから初のこと。一見嫌ってしまいそうな臨戦過程で好走に導いたのは厩舎力のたまもの。

戸崎圭太騎手がスタートを決め、好位のインを確保したのも大きい。直線ではスペースが十分ではなく、ラチに接触してバランスを崩す場面もあったが、最後まで集中して走った精神力の強さもみえた。今回みせたスタートセンスなら2勝目も近い。

3着フィリオソラーレは新馬戦でこの舞台を1.34.3で駆け抜けた好素材。当時の上がり33.3に対し、今回は33.9。直線も伸びきれずといった感じで、全能力を発揮したとはいえない。

同じ父を持つエフフォーリアと比べると切れるイメージがなく、今回は新馬戦の再現を試みたが、もう少し好位で折り合うような競馬なら変わり身もありそうだ。


2026年サウジアラビアRC、レース回顧,ⒸSPAIA


《ライタープロフィール》
勝木 淳
競馬を主戦場とする文筆家。競馬系出版社勤務を経てフリーに。優駿エッセイ賞2016にて『築地と競馬と』でグランプリ受賞。主に競馬のWEBフリーペーパー&ブログ『ウマフリ』や競馬雑誌『優駿』(中央競馬ピーアール・センター)にて記事を執筆。Yahoo!ニュースオーサーを務める。『名馬コレクション 芦毛の怪物たち』(ガイドワークス)に寄稿。

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