【スワンS】ダイヤモンドノットが重賞3勝目 厳しい流れを押し切った1400mの申し子

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スプリント戦に近い序盤の入り
マイルチャンピオンシップの前哨戦・スワンステークスはダイヤモンドノットが制し、重賞3勝目。2着スズハローム、3着オフトレイルで決着した。
マイルCSの前哨戦という位置づけこそあるものの、近年は1400mのスペシャリストによる争いになるケースが多くなった。GⅠがない距離だけに、GⅡ格は最上位。ここを獲らないでどこを目指すのか。そんなスペシャリストが今年も目立った。
勝ったダイヤモンドノットも、重賞3勝はすべて1400m。まだ3歳なので、成長してマイルをこなせるようになり、GⅠを目指してほしい気持ちが強い。それだけに“スペシャリスト”と評するのは憚られるが、やはり同馬にとって1400mはもっとも競馬がしやすい。それを痛感させられたレースだった。
ポイントは序盤のラップだ。最初の600m33.6は、ほんのわずかだが速い。最後に差し馬勢が前後を逆転できたのは、先行勢がやや突っ込んで入ったためでもある。12.0-10.6-11.0。極端ではないものの、序盤の上り坂に向けて34秒を切ったのは最後に響いた。見た目以上に厳しい流れであったといえる。
事実、昨年は序盤600m33.5で入り、最後はオフトレイル、ワイドラトゥールが追い込んできた差し決着だった。今年も2、3着は追い込みで、3着は昨年の勝ち馬オフトレイル。完全な差し決着になってもおかしくなかった。
レースぶりに進境を感じるダイヤモンドノット
だが、勝ったのはダイヤモンドノット。好位勢でただ1頭、踏みとどまった。これだけでも高い1400m適性を感じる。
枠なりに好位のポケットに入り、折り合いをしっかりつけ、最後は最内にスペースを見出し、迷わず突っ込んできた。馬自身がレース巧者になってきた印象がある。2歳時に感じた粗削りな面はすっかり消えた。
ラスト600mは11.6-11.3-11.4、34.3。序盤の入りを踏まえれば、最後の2ハロンを11.3-11.4でまとめるのは容易ではない。そこにダイヤモンドノットの強さがみえる。
一方で、1400mをこのラップ構成で好位から押し切り、走破タイムも1:19.2をマーク。休み明けには1200mを試しているように、200mの距離延長は壁になりそうだ。
陣営は1400m路線に舵を切るような気もするので、そうなれば距離延長への心配は無用だろう。それでもGⅡ2勝馬であり、GⅠタイトルはほしい。ここをどう考えていくのか。今後の陣営の選択に注目したい。
魅力的な穴馬スズハローム
2着スズハロームは16番手からの大外一気。ゴール板での差はハナ差であり、悔しい敗戦となった。
ラスト200mで時計がかかっていれば、追い込み向きの展開になったと納得できるが、実際はそうなっておらず、流れは16番手の追い込みに向いたわけではない。腹を括って直線勝負に賭け、大外を伸び伸びと走らせた際の破壊力は凄まじいものがある。
展開待ちなのでどうしても安定感はないが、追いかけたくなるタイプで、穴馬としての魅力がある。急坂などの上がりがかかる要素がそろった舞台で一発に賭けるのもおもしろい。
3着オフトレイルは昨年、同じように4コーナー11番手から差して1:18.9のレコード勝ちを決めている。1番人気は納得だ。
直線半ばまでは昨年の再現まであったが、最後の200mで外にモタれてしまい、まっすぐ走れなかった。タイム差なし、ハナ、クビ差の3着はこの分だろう。平坦コースなら反応が違う。
3番人気エリカエクスプレスは8着。外枠で前に壁を作れず、力んで走ってしまったのは痛かったが、1200mに近い序盤のラップ構成の前に泡を食ってしまった雰囲気もある。
距離適性はマイル戦を軸に+200m、1800mぐらいではないか。このマイルを軸にした考え方は距離適性を推し量る上でポイントであり、この±200mの適性差こそが、エリカエクスプレスとダイヤモンドノット以下の上位馬との違いだろう。エリカエクスプレスは広いコースの1800m戦に出走するなら見直せる。

《ライタープロフィール》
勝木 淳
競馬を主戦場とする文筆家。競馬系出版社勤務を経てフリーに。優駿エッセイ賞2016にて『築地と競馬と』でグランプリ受賞。主に競馬のWEBフリーペーパー&ブログ『ウマフリ』や競馬雑誌『優駿』(中央競馬ピーアール・センター)にて記事を執筆。Yahoo!ニュースオーサーを務める。『名馬コレクション 芦毛の怪物たち』(ガイドワークス)に寄稿。
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