【京都大賞典】最後方待機から大外一気 女傑ヒシアマゾンが牡馬一蹴の1995年をプレイバック
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【京都大賞典】最後方待機から大外一気 女傑ヒシアマゾンが牡馬一蹴の1995年をプレイバック

2026/09/28 17:00
緒方きしん
プレイバック1995年京都大賞典,ⒸSPAIA

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牡馬に挑み続けた天才牝馬

今週は京都競馬場で京都大賞典が開催される。過去にはテンポイントやメジロマックイーン、キタサンブラックらが制したレース。今回はそんな中から1995年の一戦をピックアップして当時を振り返っていく。

1995年の京都大賞典には、前年に京都大賞典、ジャパンCと連勝したマーベラスクラウン、その京都大賞典でハナ差2着だったアイルトンシンボリ、日経賞と天皇賞(春)で2戦続けて2着のステージチャンプ、さらにナイスネイチャ、レガシーワールドなど、豪華なメンバーが顔を揃えていた。

前記の強力な牡馬たちを相手に、単勝1.4倍の圧倒的支持を集めたのが、牝馬のヒシアマゾンだった。2番人気のアイルトンシンボリが単勝7.0倍だったように、他を大きく引き離していた。

牝馬では、過去にトウカイローマンやヤマノシラギクが制しているが、いずれも人気薄での勝利。牝馬が断然の1番人気に推されること自体が、当時としては異例のことだったと言える。

ヒシアマゾンは1993年に阪神3歳牝馬Sを制して3歳女王(現2歳)に輝くと、翌年はクイーンCから重賞6連勝でエリザベス女王杯を制覇。続く有馬記念では6番人気の評価にとどまったが、それに反発するかのようにナリタブライアンの2着と好走した。

以降は牝馬限定戦ではなく、牡馬との戦いを主戦場とする。5歳(現4歳)シーズン初戦となる高松宮杯(芝2000m)こそ5着に敗れたものの、続くオールカマーでは力強く押し切って勝利。牡馬相手でも勝ち切れる実力を証明し、秋の大目標に向けて京都大賞典に挑んだのであった。

単勝1.4倍の支持に応える完勝

レースは揃ったスタートで幕を開けた。マルブツセカイオーが良いスタートを切っていたが、7枠10番のレガシーワールドが外からハナを主張する。鞍上は、ここが初コンビとなる武豊騎手。2番手にはマルブツセカイオーと、同年春にメイS、吾妻小富士OPを逃げ、先行策で連勝したダイゴウソウルが並ぶ。

マーベラスクラウン、アイルトンシンボリらも好位にとりつき、隊列が組まれていく。ヒシアマゾンと中舘英二騎手はというと、13頭中13番手。最後方からの競馬となった。

最初のコーナー、武豊騎手に促されたレガシーワールドが果敢に逃げ、後続との差をグングンと広げていく。一方、2番手以降はやや抑え気味で、後続の隊列はそれほど縦長にはならない。ただ、最後方のヒシアマゾンだけは、後方2番手のナイスネイチャらからやや離れた位置を追走していた。

2コーナーに差し掛かる頃には、レガシーワールドは完全な独走状態に。年を重ねてもなお力強い走りでスピードを緩めず、向正面では2番手との差がおよそ10馬身まで開いていた。後続の仕掛けるタイミングにも注目が集まるなか、ヒシアマゾンは依然、最後方に控えていた。

向正面を越えたあたりで、ようやく後続各馬が動き出す。ヒシアマゾンも、同じタイミングでジワリと進出を開始する。3、4コーナーにかけて、馬群は横に広がる大渋滞となった。レガシーワールドは完全に一杯となり、馬群に飲み込まれていく。

中団後方からタマモハイウェイとナイスネイチャが一気に捲り、1、2番手まで位置を押し上げ、粘り込みをはかる。そんな横に広がった混戦模様の馬群を見ながら、ヒシアマゾンは大外を駆け上がっていく。

そして直線。早めに先頭へ立ったタマモハイウェイは外目に進路を取る。まだ脚色が良い。内からはカミノマジックやダイゴウソウルも勢いよく迫る。

だが、大外を回ってきたヒシアマゾンが、ただ1頭、明らかにスピードが違う末脚で追い込んでくる。ほぼ並びかけることもなく前の馬たちを一気に交わすと、そのまま独走態勢に持ち込んでしまった。

早々に勝負をつけたヒシアマゾンは、そのまま最後まで後続を引き離してゴール。2着のタマモハイウェイに2馬身半もの差をつける、余裕の勝利だった。

レガシーワールドの大逃げから始まり、ヒシアマゾンの大外一気が炸裂した京都大賞典。「これは強い」そんなファンの驚きが、ざわめきとして競馬場を包んだ。

一方、2番人気アイルトンシンボリは7着、3番人気マーベラスクラウンは10着と、いずれも馬券圏外に沈んだ。2着のタマモハイウェイは10番人気ということもあり、馬連配当は3,470円の高配当。3着に入ったカミノマジックも7番人気であり、もし3連単が発売されていれば、かなりの高額配当になっていただろう。

さらに、4着には11番人気ダイゴウソウル、5着には9番人気ゴーゴーゼット。勝ち馬を除くと掲示板内を人気薄が占める結果に。ヒシアマゾンの豪脚が伏兵たちの激走を呼び込んだ一戦でもあった。

今年はアクアヴァーナルやサフィラらが登録

ヒシアマゾンは続くジャパンCで、ナリタブライアンに次ぐ2番人気に支持された。牡馬と互角以上に渡り合える牝馬として、すっかり評価が定着していた。レースでは好位から抜け出した外国馬ランドを捕まえきれず2着に敗れたが、日本馬最先着と意地を見せた。

次走の有馬記念では1番人気に推されるも、マヤノトップガンが逃げ切る展開で5着。それでも、その年の最優秀5歳以上牝馬に選ばれ、3年連続のJRA賞受賞となった。

引退後は海を渡り、繁殖牝馬として海外の種牡馬と配合された。Silver Deputy、Saint Ballado、Posseといった大種牡馬との間に牝馬を産み、その娘たちも繁殖入り。ディープインパクトやドゥラメンテなど日本の大種牡馬と配合され、ヒシアマゾンの血を広げている。

また、ヒシアマゾンの母であるKatiesは日本で大きく牝系を広げており、エフフォーリアやアドマイヤムーン、スリープレスナイトといった名馬たちの祖としてその名を深く日本競馬史に刻み込んでいる。

さて、今年の京都大賞典はアクアヴァーナルやサフィラといった牝馬たちが出走を予定している。特にアクアヴァーナルは、この春に阪神大賞典2着、天皇賞(春)4着と、屈強な牡馬を相手に好勝負を演じてきた。

今や強い牝馬が牡馬を相手に勝ち負けすることも珍しくなくなったが、彼女たちも牡馬を打ち破り、この後に控える大レースで存在感を見せつけていくことができるだろうか──。

《ライタープロフィール》
緒方きしん
札幌生まれ、札幌育ちの競馬ライター。家族の影響で、物心つく前から毎週末の競馬を楽しみに過ごす日々を送る。2016年に新しい競馬のWEBメディア「ウマフリ」を設立し、馬券だけではない競馬の楽しみ方をサイトで提案している。好きな馬はレオダーバン、スペシャルウィーク、マカヒキ、ドウデュース。

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