【天皇賞(秋)回顧】父エピファネイアを彷彿とさせる爆発力 ダノンデサイル、強烈なパフォーマンスで復活
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【天皇賞(秋)回顧】父エピファネイアを彷彿とさせる爆発力 ダノンデサイル、強烈なパフォーマンスで復活

2026/11/02 10:43
勝木淳
2026年天皇賞(秋)、レース結果,ⒸSPAIA

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ダービー馬ダノンデサイル復活

秋の中距離大一番の天皇賞(秋)はダノンデサイルが制し、GⅠ3勝目。2着ネブラディスク、3着レガレイラで決着した。

2強と謳われたクロワデュノール、マスカレードボールは5、11着。二強相並ばずといえど、どちらもそろって敗れるとは競馬は難しい。早朝にはフォーエバーヤングがブリーダーズCクラシックで5着とよもやの敗北を喫し、競馬に絶対はないということを知った週末だった。

2頭の敗因については最後に述べるとして、勝ったダノンデサイルにはとにかく驚かされた。とはいえ、こちらもダービー馬。驚くのは失礼というものか。

ドバイで「ベリベリホース」と呼ばれるようになってから、国内では4戦連続GⅠ3着とうっ憤がたまる競馬が続いた。「どうにかしないといけない」。安田翔伍調教師の言葉がすべてを物語る。競馬界の看板たるダービー馬がこのまま終わっては寂しい。陣営の立て直しが見事に実を結んだ。

それにしても3着続きの間、どうにも歯がゆく、勝ち負けまで加われなかったとは思えぬスケール感のあふれるパフォーマンスだった。スタートひと息から後方待機。周囲が動いても一向に動じず、大外をグルっと回って差し切った。

上がりは出走馬唯一の32秒台。まるで次元の違うレースぶりだった。父エピファネイアの菊花賞、ジャパンCを思い出す。ハマったら強い。これぞシンボリクリスエスから続くロベルト系の底力だろうか。


リズム重視に徹した競馬

レースは前後半1000m58.8-57.9。スローペースに近い平均ラップだった。先手をとったレディネスは決して飛ばすタイプではなく、どちらかというと溜めて進めたいクチであり、全体的に淡々とした流れだった。

それでも好位勢は軒並み大きな着順となり、差し決着に持ち込まれた。ラスト800mは11.8-11.4-11.3-11.3。持続力と瞬時に動ける軽さの両輪が求められた。

おまけに各馬の思惑も複雑だった。直線入り口では外側に馬が流れ、外がごちゃつくとみるや、内に馬が寄る、もしくは内にモタれる馬があらわれ、壮絶なスペース合戦が繰り広げられた。

結果的にあえてリズム重視で大味な競馬に出たダノンデサイルはそれら攻防とは無縁。大胆かつダノンデサイルの力を最大限発揮する策が当たった。

毎回、高いパフォーマンスを出せるタイプでもないので、立て続けに連勝するイメージはないが、この競馬でひと皮むけたのは事実。いよいよど真ん中に立てるか。次走の動向も注目だ。


前走条件戦から好走したネブラディスク

2着ネブラディスクも驚いたが、冷静に振り返ると8番人気。前走で3勝クラスの博多Sを勝ったばかりの昇級馬になるが、ファンの評価は正しかったともいえる。

前走が準オープンだった馬の好走は87年アサカツービートの3着以来、39年ぶり。当時の1、2着はニッポーテイオー、レジェンドテイオー。もう歴史上の話になる。この年は重馬場であり、良馬場での好走は芝2000mになった84年以降、2頭目。85年勝ち馬ギャロップダイナが前走準オープン2着から中1週で達成している。今年、定年引退した根本康広氏が騎乗していた。

ネブラディスクは道中、インで身を潜め、巧みに直線で生じたスペースを抜けてきた。一発狙いに徹した騎乗が吉と出た。昨秋から1年間、2着を外しておらず、姉リスグラシューと似た雰囲気を感じる。本格化は来年かもしれないが、すでに重賞レベルにあることは証明できた。楽しみだ。

3着レガレイラは直線もイン狙い。なかなかごちゃついて力を出せない馬がいたなか、この馬だけはきれいに進路を確保できた。そこに飛び込む瞬発力があったのも事実で、東京コースの適性も感じた。

ジャパンCで勝負ではないか。着実に復調基調にある。ホープフルS、有馬記念を制しており、中山のイメージが強いが、本質は東京向きかもしれない。切れ味勝負でもう一度みたい。

5着クロワデュノールは進路の確保が難しい状況に置かれたものの、最後はしっかり抜け出してきた。もう少し積極策でもよかったか。全体的にちょっと走りに活力がなかったのも気になるところ。春3戦での消耗もあるかもしれない。少し間を置きたい。

11着マスカレードボールは行くところ行くところ進路がなく、さんざん切り返した上に、最後に挟まれて万事休す。明らかにリズムが悪かった。こちらも体調面が引っかかった。改めてサラブレッドのコンディション維持と成長は難しい。なかなか数字にあらわせない部分であり、陣営も悩むところだろう。

最後に引退レースを迎えたセイウンハーデスは10着。最後は内にモタれてしまい、ライバルに迷惑をかけたものの、直線入り口までの運びは完璧で、一瞬だけ夢をみた。鮫川牧場が代々受け継ぐスターリングモア牝系の先端として重賞3勝をあげ、100年続く牝系の尊さを伝えてくれる存在だった。


2026年天皇賞(秋)、レース回顧,ⒸSPAIA


《ライタープロフィール》
勝木 淳
競馬を主戦場とする文筆家。競馬系出版社勤務を経てフリーに。優駿エッセイ賞2016にて『築地と競馬と』でグランプリ受賞。主に競馬のWEBフリーペーパー&ブログ『ウマフリ』や競馬雑誌『優駿』(中央競馬ピーアール・センター)にて記事を執筆。Yahoo!ニュースオーサーを務める。『名馬コレクション 芦毛の怪物たち』(ガイドワークス)に寄稿。

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