【ユニコーンS回顧】ルヴァンスレーヴ産駒のワンツー シルバーレシオのさらなる飛躍に期待

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世界が広がるダート路線
ダート三冠第2戦・東京ダービーに向けたJRA勢の前哨戦であるユニコーンステークスはシルバーレシオが勝利し、重賞初制覇。2着メルカントゥール、3着ケイアイアギトで決着した。
日本時間3日早朝、チャーチルダウンズ競馬場ではケンタッキーダービーが行われた。日本から挑戦したダノンバーボンが一旦先頭の場面をつくり、5着。ワンダーディーンは8着に終わった。
その二つ前の10R・チャーチルダウンズSはテーオーエルビスがダート7ハロンのGⅠを快勝した。カペラSを5馬身ぶっちぎったスピードは本場米国でも変わらなかった。
フォーエバーヤングの登場以降、ダート界最高峰のダービーで善戦できる馬があらわれ、ダートにおける世界との距離感が急激に縮まっていった感がある。これから先、ダートで活躍しそうな産駒への需要は高まり、芝に名声を求める風潮は変わっていくだろう。
実際、POG取材の現場ではダートでの期待を口にする関係者が着実に増えてきた。以前は「でも、きっとダートだけどね…」というニュアンスだったが、いまは「ダートでこそ」という声が増えた。競馬は夢を叶えるためにある。いま、音を立ててその夢がさらに大きなものへ成長している。
父ルヴァンスレーヴの可能性
そんなダート界の次を担う候補馬たちの争いが、ユニコーンSだった。2勝目をあげた組と、サウジダービー5着のケイアイアギトなど、まだまだその真の姿、適性がベールに包まれたままの馬たちの戦いには夢がある。いったい、どんな舞台で躍動する馬になるのか。馬券予想に留まらず、未来を予想する重賞だった。
勝ったのはシルバーレシオ。これで7戦3勝。初勝利は京都ダート1800mで9馬身差圧勝。阪神ダート1800mで2勝目をあげ、京都ダート1900mで重賞をモノにした。急坂、距離と段階を踏んで着実にクリアしていく。理想的な戦歴であり、さらなる可能性を感じさせる。
今回は前半1000mの通過が推定1:01.3。中盤で一旦緩んでから、後半800m12.5-12.3-12.4-12.4の持続力勝負を上がり最速で差し切った。4コーナー手前で動けるレースセンスも光る。
母の父クロフネは芝もダートもこなすオールラウンダーで持続力に長けており、母シルバーポジーは2001年のエリザベス女王杯を差し切ったトゥザヴィクトリーを出したフェアリードール牝系。確たる持続力を産駒に伝える一族だ。
シルバーレシオはルヴァンスレーヴの産駒。現4歳が初年度産駒で、2世代目にしてJRA重賞勝利を達成した。今年4月末時点でダート106勝に対して芝は2勝。自身と同じく断然ダートに強い。そんな特色は今後、大きな夢への原動力になる。時代は変わる。
詳しく見ていくと、中山・京都・阪神・中京の1800mで合計57勝。半数以上を中距離であげるチャンピオンタイプだ。さらにこのうち6勝は母の父クロフネ。トップ11勝はキングカメハメハ、5勝スペシャルウィークと、芝ダートどちらもこなす万能型が上位に並ぶ。一方で東京ダート1600mや中山ダート1200mの勝率も上々で、スピードを伝える。ダートの重や稍重にも強く、パワー型に偏っていないのも評価できる。
ルヴァンスレーヴの父であるシンボリクリスエスは芝GⅠ4勝馬ながら、ルヴァンスレーヴをはじめダートの活躍馬を多く送った。シルバーレシオは父系、母系からスピードの持続力を受け継ぎ、ダートの一線級に育つ下地をもっている。ポテンシャルだけで勝ったというこの一戦がのちに飛躍のきっかけだったと解釈される日を楽しみにしよう。
ルヴァンスレーヴ産駒のワンツー
2着メルカントゥールも同じくルヴァンスレーヴ産駒。これで4戦2勝2着2回。クラスが上がっても崩れなかったこと、持続力勝負を好位から踏ん張り通した点など期待を抱かせる内容だった。母セラドンの初仔はダート重賞4勝のコパノキッキングであり、ルヴァンスレーヴとの相性はよさそうだ。
3着ケイアイアギトはインを立ち回り、4コーナーで頭を上げる仕草を見せるなど手応えは決してよくなかったが、しぶとく伸びた。砂を被らない外目に出すと、再び闘志を全面に出した走りに変わった。課題は残るものの、勝負を最後まで諦めない姿勢には好感がもてた。

《ライタープロフィール》
勝木 淳
競馬を主戦場とする文筆家。競馬系出版社勤務を経てフリーに。優駿エッセイ賞2016にて『築地と競馬と』でグランプリ受賞。主に競馬のWEBフリーペーパー&ブログ『ウマフリ』や競馬雑誌『優駿』(中央競馬ピーアール・センター)にて記事を執筆。Yahoo!ニュースオーサーを務める。『名馬コレクション 世界への挑戦』(ガイドワークス)に寄稿。
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