【セントライト記念回顧】理想の"イン前"につけたジャスティンシカゴ 展開と馬場を読んだ原優介騎手の判断も光る
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【セントライト記念回顧】理想の"イン前"につけたジャスティンシカゴ 展開と馬場を読んだ原優介騎手の判断も光る

2026/09/14 10:20
勝木淳
2026年セントライト記念、レース結果,ⒸSPAIA

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道悪であってもイン優位の中山芝

菊花賞トライアルのセントライト記念はジャスティンシカゴが制し、重賞初制覇。2着サヴォアフェール、3着アウダーシアで決着し、上位3頭に菊花賞の優先出走権が与えられた。

ダービー3、4着のバステール、ゴーイントゥスカイなど春の実績馬が顔をそろえた一戦はトライアルらしい流れと雨の影響を受け続けた中山の芝が結果に大きく影響した。まず馬場だが、先週はほぼ一週間を通して雨が降り続き、中山競馬場では月曜から金曜まで135.5ミリの雨量を観測した。

芝は土曜日から重馬場。なおも土曜日には17ミリの雨が降り、かなり重い馬場状態でレースが進んだ。セントライト記念の勝ち時計2:14.0は2000年以降(中山芝2200mのみ)で5番目に遅い時計だった。

一方で、雨さえなければ絶好の馬場になる秋の中山は基本的に内枠が強く、とにかくインを通って最短距離で直線を迎えないと勝負にならない。スプリンターズSが先行馬決着になりやすいように、徹底してインから攻めるのは秋の中山における鉄則といっていい。

で、この鉄則は135.5ミリもの雨量を観測した馬場であっても変わっていなかった。確かに見た目では内側が悪く、2週続けて道悪競馬となれば、外差しにシフトしていてもおかしくない。だが、そう読んで馬券を買うと今週はこっぴどい目に遭ってしまった。

元から頑健な馬場だったこともあり、今週も秋の中山の鉄則通り、インを攻めないと勝負にならない。セントライト記念も後ろから外を回って追い上げようとした有力馬は見せ場もつくれなかった。

とはいえ、なんでインに行かないんだと安易に批判もできまい。レースには流れと隊列がある。ライバルたちの位置を邪魔してまで内に入るわけにはいかない。インに飛び込むリスクも考えないといけない。


勝因は抜群のスタート

こういった馬場状態に加え、流れは1000m通過62.5の超スローペース。外回り向正面に入るところでは13.3というラップも刻まれた。本番はさらに距離が延びるわけで、折り合いは最重要課題のひとつ。ペースが上がる要素はなかった。

勝ったジャスティンシカゴは結果としてインの3番手という最高のポジションを確保できた。それもこれも抜群のスタートにある。初手で先制攻撃をし、そこからライバルたちの出方を見ながら、理想の位置に収まっていく。どんな距離であってもスタートは重要だ。先にインの前にいれば、割り込めない。理想のポジションは早いもの勝ちだ。

イン優位の馬場、先行勢がじっくり脚を溜められる遅い流れとジャスティンシカゴにとっては最高の形になった。最後は進路をつくって脚を残す前の馬たちをかわすだけ。トライアルとしても理想的な省エネ競馬だったともいえる。

ジャスティンシカゴはフリージア賞から6月1勝クラスの平場戦まで3戦続けて東京芝2000mを走りいずれも連対。4走前の中山での葉牡丹賞は6着に敗れており、東京向きという見解もあったが、この間の成長と原優介騎手の持続力をいかす積極的な姿勢が中山を攻略した。

もうひとつ。ラスト600m11.5-11.4-11.6、34.5とスローであっても極端に速い上がりを記録しなかったのも勝因だろう。菊花賞はいくらスローになっても、上がりが速くなることは少なく、ジャスティンシカゴの強みが有効だ。距離さえ問題なければ、上位好走もある。


不向きな流れで善戦したアウダーシア

2着サヴォアフェールもジャスティンシカゴの後ろをとり、スローを味方につけて粘りこんだ。好位で流れに乗れる器用さを持っており、強みがいきた。母の母はウィキウィキなので、近親にはダービー馬マカヒキがいる良血で、血統的にも筋が通っている。

3着アウダーシアは馬場と流れを考えると、道中10番手からよく伸びてきた。スプリングSで鮮やかに差し切り勝ちを決めたように、直線の短い中山で一瞬の脚で決める形がいい。得意舞台はよかったが、流れと馬場が合わなかった。中山なら狙いがたちやすい。


2026年セントライト記念、レース回顧,ⒸSPAIA


《ライタープロフィール》
勝木 淳
競馬を主戦場とする文筆家。競馬系出版社勤務を経てフリーに。優駿エッセイ賞2016にて『築地と競馬と』でグランプリ受賞。主に競馬のWEBフリーペーパー&ブログ『ウマフリ』や競馬雑誌『優駿』(中央競馬ピーアール・センター)にて記事を執筆。Yahoo!ニュースオーサーを務める。『名馬コレクション 芦毛の怪物たち』(ガイドワークス)に寄稿。

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