【菊花賞回顧】ディープ、コントレイルに続く親子3代V ゴーイントゥスカイが三冠阻止
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【菊花賞回顧】ディープ、コントレイルに続く親子3代V ゴーイントゥスカイが三冠阻止

2026/10/26 11:00
勝木淳
2026年菊花賞、レース結果,ⒸSPAIA

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キンググローリーの覚悟

2026年のクラシック三冠最終戦・菊花賞はゴーイントゥスカイが制し、GⅠ初制覇。2着バステール、3着ダノンヒストリーで決着した。

ロブチェンの三冠なるか。焦点はその一点だったといっても過言ではない。達成か、阻止か。偉業がかかる菊花賞は、その攻防に感動すら覚える。

京都芝3000mがつむぐドラマはどれも劇的で、今年の菊花賞もそんな競馬だった。結果はロブチェンが14着と大きく敗れ、ダービー4着ゴーイントゥスカイが最後の一冠をもぎとった。

レースは出だしから強烈だった。前走の九十九里特別をスローに落として逃げ切ったキンググローリーが、一転して大逃げにもちこんでいく。

最初の4コーナー下りでトラッキングが示した時速は65キロ。とても長距離戦の入りとは思えない。前半、無理をしてでも離せるだけ離す。三冠をかける馬がいる菊花賞は、ライバルに騎乗する騎手に決断を迫ってくる。キンググローリーの鞍上・丹内祐次騎手の選択は思い切った逃げ。2周目4コーナーでは見る者をゾクゾクさせた。

最初の1000m通過58.4は、ヒシミラクルがあっと言わせた2002年の58.3に次ぐ速さ。道中で動いて勝ち切った同馬は、翌年の天皇賞(春)も制した名ステイヤーだった。

この時点で、早くもスタミナと心肺機能の勝負になった。1200m通過まですべて11秒台。後ろは構えていたとはいえ、前にいるキンググローリーを無視できない。先行勢は非常に仕掛けの難しい状況に置かれた。

中盤の1000mが62.3、最後の1000mは63.8と失速していくラップ構成になり、少しでも脚を残せた差し馬勢が前にとりついてはバテるという脱落戦の様相を呈した。


インで脚を溜めきったゴーイントゥスカイ

ただし、ラスト200mだけ13.2から12.0へと加速しており、この局面で加速できたのが上位3頭。とりわけゴーイントゥスカイはやるべきことを確実に実行した上で勝利をつかんだ。

キンググローリーがロブチェンを負かすために捨て身の策に出たように、ゴーイントゥスカイも決断と選択を迫られていた。その答えが、徹底したイン狙い。6回のコーナーで絶対に外を回らない。距離ロスを削減し、脚を溜める。馬群が凝縮した勝負所では動きたいタイミングで動けなかったが、それも脚を溜める方向へ作用した。

直線でのさばきは、まさに武豊騎手の真骨頂。冷静にスペースを探し、最短距離でゴーイントゥスカイを導いた。なにか手を打たないとロブチェンには勝てない。その意志がレース各所で見受けられた。そこに感動があった。

この勝利で、祖父ディープインパクト、父コントレイルに続く親子3代菊花賞制覇を達成した。コントレイル産駒は早期から結果を残すことはできなかったが、その分、晩成傾向にあり、さらに舞台が2400m以上に移ってから活躍しだした。

その筆頭格が、青葉賞を勝ったゴーイントゥスカイだ。ダービーでみせた末脚といい、着実に成長の跡がうかがえる。菊花賞では、ラスト200m12.0で伸びた。苦しいところで伸びる、踏ん張れる強さは、祖父や父の現役時代に重なる。


2、3着馬も父は菊花賞馬

2着バステールはダービーでレースを動かしたが、今回は末脚に徹する構えで逆転を狙った。ゴーイントゥスカイとの着差はハナ差。外を回った分ではあるものの、4コーナーでかなりタイトな攻防を潜り抜けており、こちらもラスト200mでしっかり伸びた。

父は菊花賞馬キタサンブラック。流れに乗って立ち回れる強さを身につけていけば、タイトルは近い。

3着は上がり馬ダノンヒストリー。こちらは最後の最後の局面で脚色がわずかに鈍った。上位馬との差はそこだけであり、この経験を経て馬が変わってくるのではないか。

こちらも父エピファネイアは菊花賞馬。やはり菊花賞特有の京都芝3000mの厳しさを前に、血統の力は大いにプラスに働く。

ロブチェンは14着。スタートで遅れ、途中で上手く挽回できたようだが、最後は脚がなかった。距離の壁も感じたが、なによりパドックから少し汗をかいており、長距離を戦うには気が入りすぎていたようにもみえた。

今年の菊花賞はロブチェンが三冠に王手をかけたことから見られた攻防であり、その挑戦は讃えたいところ。見直すべき要素はまだまだ多いが、それは成長の余地でもある。楽しみはまだ続く。

2026年菊花賞、レース回顧,ⒸSPAIA


《ライタープロフィール》
勝木 淳
競馬を主戦場とする文筆家。競馬系出版社勤務を経てフリーに。優駿エッセイ賞2016にて『築地と競馬と』でグランプリ受賞。主に競馬のWEBフリーペーパー&ブログ『ウマフリ』や競馬雑誌『優駿』(中央競馬ピーアール・センター)にて記事を執筆。Yahoo!ニュースオーサーを務める。『名馬コレクション 芦毛の怪物たち』(ガイドワークス)に寄稿。

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