【秋華賞】“末脚非凡”ラベルセーヌが本命候補 穴なら素質高いカナルサンマルタン

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後半型の馬が有利
秋華賞の舞台となる京都芝2000mの内回りは、最初のコーナーまでの距離が約300mと短いが、本レースでは2角過ぎまでハナ争いが続くこともある。一方、後方脚質の馬は、最後の直線が328mと短いため、3角の下り坂から仕掛けることが多い。
このように、2角過ぎまでペースを上げていく先行勢と、短い最後の直線を意識して3角過ぎから仕掛ける後方勢の兼ね合いから、京都開催の直近10回では、かなりのハイペースが4回発生している。実際に、逃げ馬は2着2回、先行馬は2着1回、3着3回と、いずれも勝ち馬が出ておらず、後半型の馬が圧倒的に活躍している。
昨年のように逃げ、先行馬が手薄だと、スローで比較的前有利の決着になる場合もある。ただ、普段スローペースばかりを経験している牝馬は、平均ペースまで上がると後半型の馬が台頭することが多い。今回は先行型が極端に多いわけではないが、平均ペース前後まで上がることが予想されるだけに、後半型の馬が有利と見る。
能力値1~5位の紹介

【能力値1位 モンローウォーク】
デビューから4戦4勝。前走のローズSでは7番枠からまずまずのスタートを切り、コントロールしながら外2番手を確保すると、淡々と流れた道中でもその位置を維持する。
3~4角でも外2番手で我慢していたが、4角で外からレイクラシックが絡んでくると、馬なりでじわっと先頭に並びかけて直線へ。序盤で仕掛けを待つ余裕を見せながら堂々と先頭に立ち、3/4差ほど抜け出すと、ラスト1Fで突き抜けて3馬身差で楽勝した。
当時は高速馬場で前後半4F47秒2-45秒6のスローペースだが、阪神芝1800m開催時のローズS史上4番目に速い1分44秒5で決着しているように、中盤が緩んでおらず、ラスト1Fで11秒7と減速する展開。最短距離を通した10番人気のファストフォワードが4着に健闘しており、内有利な馬場ではあったが、前が楽な展開ではなかった。
その流れを2番手から押し切った内容は高く評価できる。ただし、前走がそこまで楽なレースではなかっただけに、今回は余力の面で少し不安がある。
2002年にも今年のように桜花賞馬やオークス馬不在で秋華賞が行われ、加えてオークスのレベルも低かった。そのなかで、目下4連勝でローズSを制した新興勢力のファインモーションがここを制している。
今年は2002年に類似している一方、当時よりも底を見せ切っていない馬が複数出走している点は相違点だ。しかし、本馬は能力値も最高指数もメンバー中でNo.1。この点を踏まえると、多少の不安があっても評価を対抗以下には落とせない。
【能力値2位タイ ラベルセーヌ】
遅いデビューとなった今年3月の中山芝1800m・3歳未勝利戦では、既走馬相手に5馬身差で圧勝。3~4角でペースダウンしたとはいえ、中団中目から外に誘導し、4角で大外から仕掛けて直線序盤で並ぶ間もなくリードを奪った内容はインパクトがあった。
この時の2着馬トーセンブリラーレは次走で勝利しており、相手が決して弱かったわけではない。実際にラベルセーヌがここで記録した指数は、今回の出走馬がデビュー戦で記録したなかで最も高い。
次走のフローラSは、デビュー戦圧勝の疲れもあってか5着に敗退。前有利の展開を2列目の最内で進めていたが、折り合いに苦労して1列下げ、気が付けば中団の最内まで下がったことも仇となり、4着争いでエイシンウィスパーにハナ差で敗れた。位置を下げずに運べていれば、もっと上の着順だったと推測される。
その後、東京芝1600m1勝クラスと前走の三面川特別(2勝クラス・新潟芝1800m)を連勝。前走では8番枠から五分のスタートを切り、中団外を追走。道中で前3頭から離れた好位の外で進めた。
3~4角で前がペースを落としたことで自然と差が詰まって直線へ。序盤は軽く促しながらもまだ好位列だったが、ラスト2Fで合図を出すとすっと先頭列に上がり、ラスト1Fで抜け出して2馬身差で完勝した。
当時はコンクリートレベルの高速馬場で、前後半4F46秒9-45秒4のスローペース。前有利の展開だったが、断トツの上がり3Fタイムで勝利し、非凡な末脚を見せた。
今年の3歳牝馬クラシック路線は低調だっただけに、2勝クラスを好指数で勝利したことは価値が高く、先行するモンローウォークやガーネットフレアを見ながらレースを進められる点も好ましい。今回の本命候補だ。
【能力値2位タイ エンネ】
今年3月に既走馬相手の阪神芝1800mでデビューし、大外一気で完勝すると、次走のフローラSでも2着。同レースでは前有利の展開を、のちのオークス3着馬ラフターラインズよりも後ろで進め、3~4角で同馬よりも外を回るロスがありながら、ラスト1Fは同馬との差をしっかり詰めている。
本馬はややテンに置かれるところがあり、オークスではコンクリートレベルの高速馬場のなか、出遅れたうえに内にヨレて接触し、後方からの追走。前有利の展開に泣いた。しかし、ブリンカー着用で挑んだ前走のローズSでは一転して2着に健闘した。
その前走は2番枠から五分のスタートを切り、かなり押して先行策。外から各馬が内に切れ込んでくる中で好位の中目に誘導し、道中はそこで折り合って進めた。
3~4角でも同じ位置で仕掛けを待って直線へ。序盤でモンローウォークの後ろから追われたが、伸び切れずに少し離されてしまう。ラスト1Fで何とか2番手に上がったが3馬身差で完敗だった。
当時は高速馬場で緩みない流れ。道中でモンローウォークをマークしながらも完敗ではあったが、春の一連のレースとは異なり、ある程度、前の位置を取ってレースの流れに乗れたことはこの先に向けての大きな収穫だ。
しかし、休養明けの前走で指数を大幅に上昇させただけに、今回はその疲れが懸念されるところである。本馬はまだキャリアが浅く、ここでさらなる成長を見せる可能性もあるが、他に手強い馬も出走しているだけに今回は評価を下げたい。
【能力値4位 ドリームコア】
今春のオークスで2着。そのオークスでは12番枠から出遅れ。内と外から大きく挟まれる痛い不利があったが、何とか立て直して好位の外目で折り合いに専念。1角ではペースが上がらず少し掛かっていたが、2角でなだめて、向正面はその位置でコントロールして進めた。
3~4角でも好位の外からほぼ馬なりで直線へ。序盤で追われたが、前も止まらずまだ3列目。ラスト2Fで先頭に立ったリアライズルミナスに接近し、ラスト1Fでしぶとく同馬をかわしたが、最後は中目をさばいてきたジュウリョクピエロに差されてクビ差で惜敗した。
当時はコンクリートレベルの高速馬場で、前後半5F62秒2-58秒9と、かなりのスローで前有利の展開。また、この日は外有利の馬場でもあり、馬場と展開に恵まれた好走ではあった。ただし、着差がクビ差だけに序盤の不利は明確に痛かった。
1番人気に支持された前走の紫苑Sは3着。超タフな馬場だったことが、休養明けの本馬に応えた面があり、今回は叩かれての前進が見込める。
一方で、今年のオークスはレベルに不安がある。オークス4着馬リアライズルミナスは紫苑Sで7着、5着馬のスウィートハピネスも次走のローズSで7着に敗れた。紫苑S組ではドリームコアが最有力とみるが、前述の通り底を見せていない新興勢力が複数出走している以上、安泰とは言えない。
【能力値5位 ガーネットフレア】
初めての芝となった2走前の札幌芝1800m(1勝クラス)を勝利。1番枠から好スタートを決めた後、少し外にヨレたがハナを主張し、ハナを取り切ってからは、マイペースで進めた。
3~4角でも楽な手応えで進めて、4角で各馬が仕掛けてくる中で持ったまま1馬身差のリードを維持して直線へ。序盤で仕掛けるとリードを2馬身半差に広げ、ラスト1Fで追われると、突き抜けて3馬身半差で楽勝した。
当時は高速馬場で前後半4F49秒7-46秒4のかなりのスローペース。芝実績がなかったこともあってノーマークだった分、楽に逃げられた面はある。ただ、鞍上も芝でどこまで切れる脚を使えるか未知数の状態で早めの仕掛けとなったなか、最後までしっかり脚を使った点は評価できる。
前走の夕月特別(阪神芝2000m)も勝利。ここでは6番枠から好スタートを決め、コントロールして離れた2番手を追走。道中ではエコテーラーが単騎逃げの形に持ち込んだが、追いかけなかった。
3~4角でも最内から徐々に進出し、4角で軽く促して2馬身差で直線へ。序盤でしぶとく伸びて先頭に立って1馬身ほど前に出ると、ラスト1Fで踏ん張って2馬身差で完勝した。
当時はコンクリートレベルの高速馬場で、前後半5F59秒9-59秒1の平均ペース。逃げるエコテーラーを目標に最短距離を通って、本馬の5F通過は61秒前後。鞍上が前の失速を計算に入れ、展開に上手く嵌めていた。
ここ2戦は前有利の展開に恵まれる形で勝利しているだけに、GⅠでペースが上がった場合にどこまでやれるのかという不安がある。
穴候補は素質高いカナルサンマルタン
中山芝1600mの新馬戦では、のちにNHKマイルCを勝つロデオドライブの2着。ここでは1番枠から好スタートを決めて先行したが、2角で他馬に前に入られ(同馬は斜行で制裁)、ブレーキする不利。そのなかで3着馬に4馬身差をつける価値の高い走りを見せた。
また、勝ったロデオドライブはNHKマイルC制覇後の新潟記念でも好走。同レースではラスト2Fで進路がない状態から、最後はダノンシーマの外から猛然と伸び、アタマ差の2着と、古馬相手に健闘している。実質、現時点では3歳世代のNo.1といえる存在だ。新馬の相手がこの馬でなければ、不利があってもカナルサンマルタンが勝っていただろう。実際、カナルサンマルタンはこの後に連勝している。
前走のスイートピーSは大外11番枠から五分のスタートを切り、軽くコントロールして好位の外から追走。道中も同位置で我慢させ、3~4角でじわっと押し上げて2列目の外から直線へ。序盤で肩鞭を入れて前に取り付き、ラスト2Fで追われると一気に先頭。ラスト1Fで抜け出し、食らいつくモートンアイランドを振り切って3/4馬身差で勝利した。
当時はコンクリートレベルの高速馬場で、前後半4F47秒9-45秒6のスローの上がり勝負。3~4角の外からじわっと動き、ラスト2Fで先頭に立ってからは、最後まで66km/h前後と、長くスピードを維持していた。素質の高さがうかがえる内容だった。
2着モートンアイランドも新潟芝2000mの1勝クラスを高指数で勝利しており、4着馬はその後に紫苑Sで2着に入るサムシングスイート、5着馬はかもめ島特別(2勝クラス・函館芝1800m)でモンローウォークの2着に健闘したアストリルである。
このように、負かしたスイートピーS組のその後の活躍からも、カナルサンマルタンがここで足りる可能性は高い。ただ、今回は5ヵ月半の休養明け。新興勢力が強いこともあり、単穴評価までとする。
※パワーポイント指数(PP指数)とは?
●新馬・未勝利の平均勝ちタイムを基準「0」とし、それより価値が高ければマイナスで表示
例)モンローウォークの前走指数「-22」は、新馬・未勝利の平均勝ちタイムよりも2.2秒速い
●指数欄の背景色の緑は芝、茶色はダート
●能力値= (前走指数+前々走指数+近5走の最高指数)÷3
●最高値とはその馬がこれまでに記録した一番高い指数
能力値と最高値ともに1位の馬は鉄板級。能力値上位馬は本命候補、最高値上位馬は穴馬候補
《ライタープロフィール》
山崎エリカ
類い稀な勝負強さで「負けない女」の異名をとる競馬研究家。独自に開発したPP指数を武器にレース分析し、高配当ゲットを狙う! netkeiba.com等で執筆。好きな馬は、強さと脆さが同居している、メジロパーマーのような逃げ馬。
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